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罪の声 (2020)

監督
土井裕泰
  • みたいムービー 1,048
  • みたログ 4,355

4.04 / 評価:3655件

じっくり味わう2時間20分の「懐石料理」

  • のいじー さん
  • 2020年11月4日 0時57分
  • 閲覧数 2679
  • 役立ち度 63
    • 総合評価
    • ★★★★★

原作読んだのは去年だったかな?その段階ですでに映画化は決まっていたので、満を持して見てきました。

それにしても塩田武士さんの作品は映像化が相次ぎ、勢いがありますね。
NHKBSプレミアムでドラマ化された「盤上のアルファ」と「歪んだ波紋」。
そして今作「罪の声」。
どれも新聞記者が出てくるなと思っていたら、塩田さん自身が記者経験ありだったんですね。
取材対象との距離感の描き方が説得力があり、違和感なく作品の世界観を味わうことができました(まあ、一応私も記者経験ありなのでw)

で、今作。
日本中を騒がせたあの事件をモチーフに、というところで事実とフィクションのギリギリの隙間を2人の主人公が縫い合わせていく構成を、映像化にあたり野木亜希子さんの脚本が巧みにブラッシュアップ!
絡まりあった謎がひとつひとつ解きほぐされ真相が描かれていく様は、静かにピアニッシモから始まった曲が、次第にクレッシェンドで高まりを見せていくかのようで、ストーリーを知っていてなお、引き込まれましたね。

・・・なんてことは他の方も書いてると思うんで、ちょっと違う視点からも気づいたことを書いてみましょうか。

星野源演じる主人公の一人、曽根俊哉はテーラー。他人の服を仕立てるのが仕事ですが、テーラーともあれば自分の身なりもしっかりしていないと、腕が疑われますよね。
だから、星野源の衣装もしっかりしているなーと感じました。
お手頃な値段の生地をそつなく仕立てたこざっぱりしたスーツ。
フランネルっぽい生地で、ラペル細めでノッチ高めのブレザー。
職人としての矜持が光る、スタイリッシュなウエストコート。

一方で対照的なのが小栗旬演じる阿久津の身なりです。
つるしのブカブカスーツに、ちょいよれよれのトレンチコート。
既製品のシャツに適当に結んだネクタイ。
取材用のカバンをひっさげれば、記者様の出来上がりで御座い!

この二人がバディっぽく右往左往するところはストーリー的にも映像的にも情報量が一気に増えて、中盤の見どころと言えるでしょう。

あと、気になったのは随所に「川」と「橋」が挟まれることですかね。
「川」は不可逆的で戻すことのできない「時間」のイメージ。
「橋」は人々が行き交う「クロスポイント」のイメージ。
この2つで人生を俯瞰的に眺める視点を挿入しているのかなと思いながら見ていました。

星野源・小栗旬がダブル主演で引っ張る今作は、梶芽衣子さん、宇崎竜童さん、火野正平さんらかつての一線級の人々が深みを与え、宇野祥平さん、橋本じゅんさんらが広がりを見せる立体的な質感のある作品です。

丁寧な仕事のされた懐石料理を、時間をかけてじっくりと味わうような贅沢な作品、ということもできるかもしれません。
世の喧騒を忘れて2時間20分、スクリーンと向き合う覚悟がある人には、胸に響くものがあるはずです!

詳細評価

物語
配役
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映像
音楽

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