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37セカンズ (2019)

37 SECONDS

監督
HIKARI
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4.27 / 評価:517件

自我に目覚め、性に目覚めた成長物語

  • wxj******** さん
  • 2020年2月21日 21時52分
  • 役立ち度 5
    • 総合評価
    • ★★★★★

丁寧に、極自然に、押しつけがましくなく障害者の実態と成長を描いている。
下手に美談に祀り上げるのではなく、真正面から描いているのも好感持てる。

生まれた時に、37秒息をしていなかったことで、身体に障害を抱えてしまった23歳の貴田ユマ。

親友の漫画家のゴーストライターとして、ひっそりと社会に存在している。
世間的には彼女の存在は伏せられ、都合良く利用されている感じ。

ユマと共に暮らす過保護な母は、ユマの世話をすることが生き甲斐。
確かに、手足が不自由で車椅子生活なので、母の介護が必要ではあるのだが。

必要以上に、過干渉で過保護で、心配症で束縛が強い。
全くユマの可能性を信じていないし、出来ないと決めつけている節もある。

ユマをお風呂に入れるために、いきなり全裸にする場面もビックリした。
全くの無名の新人で、障害者である佳山明さんという女性が演じているのだが。
実に素で自然体で、まんまユマを等身大で体現しているのがお見事。

潔く裸体を晒す、まさに体を張った体当たり演技も素晴らしい。
自我に目覚めてきた、成長過程である純粋さ、健気さ、無垢さが伝わってくる。

ユマへの愛情が強過ぎる、母を演じた神野三鈴が、迫真の名演技の数々。
生涯を持つ子を持った宿命を背負いながら、ひたすらユマのためにと尽くす。
母にとって、ユマの存在が全てであることが伝わってきて切ない。

そんな共依存関係から、次第にユマは抜け出したいと成長と変化を見せる。
毎日が息苦しく感じ始め、独り立ちをしたい一心で、ユマは自作の漫画を出版社に持ち込む。
自分の名前で作品を、世間に正しく評価されたい、という想いもあっただろう。

だが、女性編集長に「人生経験が無い作家にいい作品は描けない」と一蹴される。
この編集長を演じた板谷由夏が、これまた抜群の存在感を放ち、物語が締まる。

脇を豪華な俳優陣が固めている、キャスティングの妙も生きていて楽しい。

彼女の言葉をきっかけに、ユマの中で何かが変わり、世界観が開けていく。
アイデンティティを問い、自我に目覚めると同時に、性に目覚めるのも至って自然。
障害者だって、普通に性欲もあるし、恋もしたい。思春期になれば当たり前の事。

ユマはオシャレに着飾り、メイクを施し、夜の繁華街へと繰り出していく。
これまでの自分の殻を破り、大きく飛び出して行く、大冒険の始まりである。

まず好きな人を作って・・・なんてめんどくさい恋愛プロセスを飛び越え、初の性体験を目指す!という選択が愉快。
真っ当な出会いを待っている時間は無いし、お金で解決するなら手っ取り早い。

怪しい風俗の世界へ足を踏み入れるのだが、トントン拍子でうまくいくはずもなく。
結局傷付いてしまうのも、すこくリアリティがあって切ない。

だがそこで、ユマの人生に大きな影響を与える素晴らしい出会いが待っていた。
渡辺真起子演じる娼婦が、かっこ良くて最高!だった。

サバサバして、明るくて、姉御肌で、親身になって助けてくれるし色んなことを教えてくれる。
一緒に大人のおもちゃを買うのとか、生々しくも微笑ましくて可笑しかったな。
人生の師ともいえる存在に、ユマが癒され、救われていくのが分かった。

一方、変化を見せるユマに戸惑い、ますます母の束縛は強く、厳しくなっていく。
ついにユマは、母に反抗して無謀にも家を飛び出してしまう。

互いに愛情はあるものの、認め合うことが出来ずに反発してしまう母と娘。
母もまた、一人になって自らを見つめ直し、成長する必要があった。

親離れ子離れに、障害者も健常者も関係ない。子供は親の所有物ではない。

ユマは、ある人物を訪ねて行く決心をし、両親の過去と隠された秘密を知ることになる。
後半で、しっかりとドラマティックな展開になるのも驚きがあって良かった。

知ったうえで、「もう少し待って」と電話するユマと、優しく受け入れる母。

さらに、いきなり国外にまで飛び出してしまうのに、ビックリ!だった。
自分探しの旅が、ここまで壮大なものになるとは、予想していなかった。

介護士の男性は、いきなり仕事休んで大丈夫なのか?なんで現地の言葉が話せるの?2人分の旅費は、誰がどうやって出したのか?など、ツッコミどころが出てきて・・・。
すっかりリアリティ無くなってきたが、それでも許せるくらいのクオリティ。

過去の真実を知り、運命を受け入れたユマには泣かされてしまった。
こうして、大きく成長を遂げたユマが、帰宅して母と再会した時には・・・。

双方共にこれまでの世界が広がり、成長を見せた姿がとっても感動的だった。
「愛する人に抱きしめられる」って、異性だけとは限らないとユマも知った。

ラストの夢と希望に溢れたユマの姿に、今後の飛躍ぶりが想像出来た。
本当にユマが可愛くて、ピュアな魅力にも魅了されたし感動しました。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

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  • 切ない
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