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37セカンズ
2020年2月7日公開

37セカンズ

37 SECONDS

PG121152020年2月7日公開

fuj********

5.0

強い突破力と説得力

昨年某名画座でファースト・ゴジラと最新ハリウッド・ゴジラの二本立て。 いそいそと出かけて行ったら、偶々二つ隣の席が車椅子の女性だった。 新作のクライマックスでは身を乗り出して画面に食い込んでらっしゃる。 そうでしょうそうでしょう、誰だって観たいよね、だって楽しいもん! 俺だって早く観たいよ、キンゴジ。一体いつになったら公開なの? それはさておき確か80年代に『典子は、今』という映画があった。 監督は日本映画界の良心・松山善三。 両腕がない本物のサリドマイド児が主演し、その年の話題をさらったが、 いかにも文部省特選といった体で、どうにもお行儀が良すぎた。 本作の登場は、それ以来ということになるのだろうか。 昨年一番の衝撃作と評判の一本、方向性は同じでも彩は極端に対照的だ。 脳性麻痺による実在の障碍者を主演に据えた本作、 佳山明という得難い存在を得て、強い突破力と説得力を備えた快作となった。 何しろテーマがすごい。すごすぎてここには書けない! 障碍者とそれを結びつけるか!という組み合わせ。 私は韓国映画『オアシス』で免疫ができているので耐えられたが、 初体験の人は居心地が悪いかも。 どんなものかは自分で劇場に足を運んで確かめてください! このテーマにより障碍者を取り巻く様々な問題が芋蔓式に出る出る出る。 どこまでが計算なのか、HIKARI監督!ひょっとして天才? 主人公は出口の見えない迷宮に、自ら単身車椅子で突入していく。 か細い声して、やることはやる。もはや実行あるのみだ! 島国日本は車椅子の障碍者にとっても狭苦しい。 終盤は思わぬ水平的広がりを見せ、度肝を抜かれっぱなしだ。 前述の『オアシス』とは、また違った切り口で、社会の常識を問う。 完全バリアフリーの世の中は、案外早く実現するやもしれぬ。 そんな希望を抱かせる明るい楽天性が、この作品には溢れている。

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