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ゴーストランドの惨劇 (2018)

GHOSTLAND/INCIDENT IN A GHOSTLAND

監督
パスカル・ロジェ
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3.66 / 評価:65件

姉へ贈る、一風変わったラブレター

  • dr.hawk さん
  • 2019年9月6日 22時20分
  • 閲覧数 354
  • 役立ち度 1
    • 総合評価
    • ★★★★★

2019.9.5 字幕 シネリーブル梅田


2018年のフランス&カナダ合作の映画
祖母の家に移り住んだ家族が暴漢に襲われるホラー&スリラー映画
監督&脚本はパスカル・ロジェ


物語はシングルマザーのポリーン(ミレーヌ・ファルメール)と双子の姉妹ヴェラ(アナスタシア・フィリップス、少女期:テイラー・ヒックソン)とエリザベス(通称:ベス、クリスタル・リード、少女期:エミリア・ジョーンズ)が祖母の家に移り住むところから描かれる

車の中で自分で作ったホラー小説を読み上げるベス

母は褒め、姉は彼女が崇拝するラヴクラフトに似すぎていると酷評した

ベスは途中で立ち寄った売店で「5人家族惨殺事件」の新聞記事に目を奪われる

途中でおかしなキャンピングカーに絡まれるも、無事に祖母の家へとたどり着いた


祖母の家は古めかしい洋館で、中にはアンティークの家具と無数の人形がところ狭しと並べられている

隠し扉があったりと複雑で奇妙な家

そして事件は起こった

彼女らが荷ほどきをしているときに、いきなり巨漢男と女装男が襲ってくる

逃げ惑う姉妹、突進を受けた母は立ち上がり、女装男の持っていたナイフで巨漢男を滅多刺しする

そして母に女装男が迫った時、ベスは悪夢から目覚めるのであった


目覚めた世界は16年後、ベスは著作がベストセラーになり、夫(アダム・ハーティング)と息子(デニス・コジー)と優雅な生活を送っていた

時折、14歳の頃の惨劇が蘇り悪夢を見る
夫はそんな彼女を献身的に支えてきたのであった


テレビのインタビューでベスは言う「この小説は体験談だ」と

その小説のタイトルこそが『ゴーストランドの惨劇』だった


物語は、そんな幸せの絶頂にいるベスの元に姉のヴェラから電話が入るところから動き出す

母と姉は惨劇後も祖母の家に住んでおり、姉は精神的におかしくなっていると言う

不穏さを感じたベスは様子を伺うために家を訪れた

そこには変わらない母と地下室に閉じこもりっきりの姉がいて、姉は「あの夜はまだ続いている」と言うのである


物語は16年後がすべてベスの妄想であり、母が殺されたあとから心を失ったベスに対して、姉のヴェラが現実世界に戻そうとしていたことが暴露される

おかしくなったのはベスであり、彼女の妄想空間からの脱出と現実世界の犯人たちからの解放というのが後半のシークエンスである


物語の冒頭から伏線は分かり易すぎるぐらいに張られていて、それほど驚きは感じないかも知れない

ヴェラが「妹はテレビのインタビューに答える用意をしている」と言ったり、16年後で「体験談」と言いながら「ゴーストランド」という架空の場所がタイトルになっていたりと、どこかおかしなところが散見される

息子の奇妙なパジャマ、家族に対して名前で語りかけないなど、それらが存在しているという根拠も乏しい

だがそれらも含めて、この映画全体がのちのベスが記した小説にも思え、救護されたあとの彼女の言葉も意味深である

また警官が女装男に射殺されるくだりもどちらかと言えば安っぽく、これまで銃を見せたこともない人物がいきなり撃つというのも不可解で、このシーンもどちらかと言えば「虚構」に思えた


この物語はラヴクラフトを崇拝しているベスが、劇中で自分が認められるというシークエンス(内容が絶賛される)があり、これは潜在意識下の願望であろう

そしてこの小説のタイトルの「ゴーストランド」はベスが作り出した妄想世界のことを指しているのではないだろうか

惨劇とは、生きている姉を置いて妄想世界に逃げた妹の所業であろうか

心が壊れた間にされた卑猥なこと
それを姉は通常の精神状態で受けていた

そんな中で壊れた妹を取り戻そうとする姉

犯人たちにされる暴行よりも、精神をどこかに置いてしまった妹の行動の方が姉にとっては「惨劇」だったのではないだろうか


いずれにせよ、二重構造になっているホラーで、暴力的な怖さもさることながら、本当に怖いのは精神が壊れた家族と一緒にいることである

身体は犯人から暴行を受け、精神は犯人と家族から受けるという地獄

この物語はある意味において、その過酷な惨劇の中で自分を救ってくれた姉という存在の大きさを表しているのではないだろうか

そういう意味においては、ベスからヴェラに贈る愛の創作でもあり、ベス自身が最も認められたかったのはヴェラだったのではないだろうか

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 恐怖
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