ここから本文です

存在のない子供たち (2018)

CAPHARNAUM/CAPERNAUM

監督
ナディーン・ラバキー
  • みたいムービー 336
  • みたログ 511

4.31 / 評価:424件

大人は、社会は、判ってくれない

  • 一人旅 さん
  • 2020年5月10日 16時21分
  • 閲覧数 519
  • 役立ち度 4
    • 総合評価
    • ★★★★★

第71回カンヌ国際映画祭審査員賞。
ナディーン・ラバキー監督作。

レバノン出身の女性監督:ナディーン・ラバキーによる社会派ドラマの傑作で、様々な民族と宗教が混在する中東レバノンが抱える多くの問題を背景とした心に迫る物語がドキュメンタリータッチに展開されます。

レバノンの首都ベイルートの貧困地区で両親と多くの弟妹と暮らしている12歳の少年:ゼインを主人公にして、仲良しだった11歳の妹が年上の男性と強制的に結婚させられたことに憤りを感じた主人公が、家族の元を離れて街へと繰り出し一人で生きていこうと奮闘する中で様々な困難に直面していく様子を描いた人間ドラマで、最終的に法廷で両親を訴えた主人公が映し出される冒頭から、主人公がそうするに至った経緯を回想形式で紐解いていきます。

両親が出生届を提出しなかったため社会的には存在していない一人のレバノン人少年の苦難の道のりを通じて中東レバノンが直面している諸問題を浮き彫りにしていきます。両親に教育を受けさせてもらえず無理やり働かされる子ども達や、初潮を迎えたばかりの少女が成人男性と当然のように結婚させられるという子どもの権利の希薄さ、エチオピアを始めとしたアフリカ諸国からの不法移民やシリア難民等の経済的困窮―と現代のレバノン社会が抱える問題が次々と提示されていく社会派ドラマとなっています。そして、無責任な両親に嫌気が差して家を飛び出た主人公が、遊園地で出逢うエチオピア移民の黒人女性とその幼い息子と共に日々を生き抜こうとする―“少年のジリ貧サバイバル生活”が手厳しく描写されていて、レバノン社会における子ども達を取り巻く家庭&社会環境の劣悪さがひしと伝わる作劇となっています。

法廷で両親を訴えるに至った少年の過酷な体験を通じて、レバノン社会とそこに生きる子ども達を巡る深刻な問題を克明に提示した社会派ドラマの傑作で、実際にシリア難民であったゼイン・アル・ラフィーアが主人公の少年を繊細かつ力強く演じ切っています。

蛇足)
レバノンの歴史・民族・宗教を巡る問題に切り込んだ映画に『判決、ふたつの希望』(17)があります(こちらも傑作です)。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 悲しい
  • 勇敢
  • 切ない
このレビューは役に立ちましたか?
利用規約に違反している投稿を見つけたら、次のボタンから報告できます。 違反報告
本文はここま>
でです このページの先頭へ