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存在のない子供たち (2018)

CAPHARNAUM/CAPERNAUM

監督
ナディーン・ラバキー
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  • みたログ 783

4.31 / 評価:619件

人は生まれながらにして人権を持つのか?

  • sou******** さん
  • 2020年5月20日 21時35分
  • 役立ち度 8
    • 総合評価
    • ★★★★★

かなりメッセージ性の強い作品。
この世界観は、目にするのも辛い。残酷なほど切ない。

日本では、憲法により人権は認められている。例え侵害があろうとも、社会システムに於いて人権を守る仕組みが出来ている。それが充分であるのかどうかは、また別の話だ。何はともあれ、人権を守る為の基本理念が憲法に謳われている。

この映画の世界は、貧困層と違法移民が生活する中東。貧乏子沢山の生活で、子供たちは労働力であり、人身売買の対象であり、強制結婚の対象だ。

自分の生年月日を、自身も親も知らずに、年齢すらわからない。そもそも出生届がなく、国としては存在しない人物だ。そんな少年ゼインが主人公で、学校にも行かずに家族のために労働の日々を送る。
彼には、大好きな妹がいたが、強制的に結婚させられる。後に判明する妹の年齢は11才。全ては親の都合の為の結婚だった。
ゼインは、妹の結婚を阻止しようとするが失敗。失望のまま家出をして、違法移民のシングルマザーの子守役として貧しい家へ住み込む…。
この映画で、観る者にとって数少ない救われる場面は、乳飲み子とゼインの交流だ。2人の姿が愛らしい。


構成としては、裁判所のシーンをきっかけに、証言の度に事件内容を回想シーンで表現するパターン。過去が解き明かされる度に、切なくさせられた。
生きる事に必死なだけのゼインが、ある人物を刺して有罪判決を受けて服役。服役中に、ゼインは自身を産んだ罪で両親を訴えたのだった…。


正直、観ないなら観ないで良い。知らなければ知らないままに生きるのも方法だろう。僕は、そういう態度が嫌なだけだ。呑気に生きていくには、アイドルの恋愛コメディでも観てれば幸せだ。チンケな友情物語も良いだろう。

ただ、搾取する者はどんなレベルの生活にでも存在する。先進国だって同じだ。無かった事とされる存在が、この国にだっていると思う。全ては自己責任だろうか?自己責任で賄えないシステムや環境だってあるんじゃないか?

僕は、考えるきっかけに目を瞑りたくない。

子供は親を選べない。生まれる意思を持って卵巣にたどり着くわけじゃない。全ては親の行為の結果だ。世界には、責任ある愛の結晶も多いかもしれないが、無責任な性欲の結果という子供も沢山いると思う。

「育てられなのに何故産んだ!」と訴えるゼインは、親だけじゃなく、社会全体を非難していると思う。世界の全てに於いて、人権は生まれながらに保証されているか?残念ながらノーだ。そのシステムを作るのは大人の仕事だ。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 勇敢
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