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存在のない子供たち (2018)

CAPHARNAUM/CAPERNAUM

監督
ナディーン・ラバキー
  • みたいムービー 341
  • みたログ 553

4.31 / 評価:451件

ノンフィクションとも言える感動映画

  • oto***** さん
  • 2020年7月23日 22時50分
  • 閲覧数 59
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

レバノンの首都ベイルートのスラム街を舞台に、12歳の少年がたくましく生きようとする姿を通して、貧民・難民問題を提起しています。登場人物にやたらとリアリティがあり、演技を見ている気がしないなと感心しました。スラム街を描いた作品はたくさんあり、感動作も多いですが、知ってる俳優だったり、女優さんも垢抜けた感じがしたりで、演技は上手くても、どこかでフィクションだと頭の中で感じてしまうものです。しかし、本作にはその隙が全く無いと思ったら、実際に全員スラム街の人々をキャストにして撮影していたとのこと(女性弁護士役のみが監督の自演)。
まず主人公の少年ゼインを演じるのは、本名もゼインという12歳の少年。映画を観ている時は、“12歳ってことは日本の小6ってことだけど、この子役はもっと幼いから、ちょいと無理あるんちゃう?”なんて思いました。しかし、鑑賞後に監督インタビューを読んだら、ゼイン君は本当に12歳なんだけど、栄養失調で7歳ぐらいにしか見えなかったとのこと。このゼイン君が可愛らしくて、メチャメチャいい演技をしています。また、不法滞在のシングルマザー役の女優は、撮影中に本当に不法滞在で逮捕されたとか。冒頭の方で、子どもたちが戦争ごっこをして遊ぶシーンでさえも、やたらとリアリティがあります。読み書きが出来ない人たちとの撮影とのことで、台本は無く、シーンごとに車座になって「ここではどんなシーンを撮影したいのか」を話し合いながら撮影し、6か月を要したそうです。その苦労の価値がメチャメチャあります。こんなにリアルなドキュメンタリー調に仕上がっていますから。
「僕を生んだことを訴える」と両親を訴えるゼイン。口減らしに11歳で結婚させられ、間もなく出産で死んでしまう妹。日常では虐待を繰り返しながらも、法廷では泣き言の言い訳ばかりする両親。乳飲み子を守るために不法滞在しながら親に仕送りをするシングルマザー。人身売買や不法出国を斡旋するいかがわしい業者。そして、シーンごとに空撮で挿入される、ボロボロのコンクリビルやあばら家が林立するベイルートのスラム街。
『ファクトフルネス』という本で、世界は確実に良くなってきている、予防接種を受けられなかったり、教育を受けられない子どもの数は、世界中でどんどん少なくなっている。と書かれています。それは事実でしょう。%で考えれば、恵まれない子供と呼ばれる数は圧倒的少数になっています。しかし、%ではなく実数で言えば、まだまだ凄い数の子供たちが虐待や飢えに苦しんでいるという現実を突きつけられる映画でした。
ラストシーンのゼイン君の満面の笑みについて、「大人に媚びた笑顔」と言われる方もありますが、私には心からの笑顔に見えました。何と言っても、念願の身分証明書に使う写真を撮っているのですから。実にいい笑顔でした。あの笑顔で終わるところも、この映画の大好きなところです。実際にゼイン君一家は、ノルウェーへの移住が認められ、学校に通い始めているそうです。監督はゼイン君の新たなドキュメンタリー作品も撮影しているそうで、今から楽しみです。妹役の子はベイルートの学校に入りクラスで一番の成績、赤ちゃんはケニアに戻って幼稚園に通っているとか。もう映画の域を越えて、真のボランティア活動にもなっていますよね。
派手さは一切ないですが、心の奥深くを鷲掴みにされました。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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