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存在のない子供たち (2018)

CAPHARNAUM/CAPERNAUM

監督
ナディーン・ラバキー
  • みたいムービー 360
  • みたログ 740

4.32 / 評価:588件

「存在のない子供」が存在を勝ち取った

  • fg9******** さん
  • 2021年3月19日 15時54分
  • 閲覧数 720
  • 役立ち度 0
    • 総合評価
    • ★★★★★

…あらすじは、横着をして、解説の次のとおり。
 『12歳のゼインは、中東のスラムで両親とたくさんの兄弟姉妹と住んでいるが、親が彼の出生届を出さなかったため身分証明書を持っていなかった。
 彼は11歳の妹と仲が良かったが、知人の年上の男性と無理やり結婚させられてしまう。
 怒ったゼインは、家を飛び出して職を探そうとするが、身分証明書がないため仕事ができなかった。』
 冒頭から衝撃的だった。
 ゼインは、僅か12歳で裁判を起こしたのだ。
 訴える相手は自分の両親だ。
 裁判官から「何の罪で?」と問われたゼインは、毅然として「僕を産んだ罪だ」と答えるのだ。
 以降、ゼインのここに至るまでの経緯が描かれていく。
 彼は、一つ年下の妹・サハルととても仲が良い。
 サハルが初潮を迎えたある日、ゼインはコッソリと妹のパンツを洗ってあげ、親にはこのことを黙っていろと注意を促すが、親にバレてしまうのだった。
 すると、親は即座に女になった我が子を無理矢理嫁がせてしまうのだった。
 毒親の仕打ちもさることながら、女児を嫁に貰う男も変態そのものだ。
 ゼインは、必死になってこの悪行を阻止しようとするが叶わず、路頭に迷うようになる。
 働いて食い扶持を得ようとするが、身分証明書がないために働き先は見付からず、いよいよ瀕したところで、エチオピア難民の母子と出会う。
 母・ラヒルが仕事をしている間、ゼインが乳幼児・ヨナス(1歳位?)の子守をすることになり、束の間の疑似家族の温もりを味わうのだった。
 そんなある日、母親が家に戻らないのだった。
 なんと、ラヒルが不法滞在の罪で拘束されてしまったのだった。
 以降、ゼインが甲斐甲斐しくヨナスを養う健気さに胸が打たれてしまう。
 よちよち歩きのヨナスの足を縄で繋ぎ止めながら、生活の知恵の限りを尽くし、ある時はヤクの密売にも手を染めて、ヨナスのミルク代を賄うのだった。
 話が長くなりそうなので、先へと急ごう。
 そんな折、大好きだった妹・サハルが死んだことを耳にする。
 妊娠して出産する際に、満足な治療が受けられずに死んでしまったのだった。
 怒り心頭に発したゼインは、包丁を手にして、サハルを孕ました糞野郎をぶっ殺すと息巻き、ソイツの在り処を突き止めて刺してしまい、警察に逮捕されて少年院送りになってしまうのだった。
 そんな境遇の彼を母親が面会に訪れる。
 母親は、またも身籠っていた。
 そんな母親にゼインは、諦念と侮蔑の入り混じった表情で痛烈な言葉を浴びせるのだった。
 「子供の世話が出来ないなら産むな!あんたには心がないのか!!」
 こんな日々を少年院で送るうちに、女性弁護士の知るところとなり、冒頭の裁判になるのだった。
 ラスト、「存在のない子供」だったゼインが身分証明書用の写真を撮る。
 過酷な状況下でひたむきに生き続けてきたゼインの、本作での初めての笑顔を見せるのだった。
 この世に存在してもいいことを勝ち取った、輝かしい笑顔に目頭が熱くなってくる。
 冒頭から終始息も詰まる重苦しい展開だったが、ドキュメンタリーかと見紛うほどのリアルさに釘付けとなった。
 後で知ったことだが、女性弁護士をナディーン・ラバキー監督が演じている以外、ゼインを始めとした出演者は、実際にベイルートの貧民街で暮らす人々を起用したらしい。
 どうりでリアルな筈だ。
 コロナ禍で疲弊しきっているオイラもまだまだ甘ちゃんだと恥じ入らせる、非常に見応えありの作品で、4.2点といったところかな。

 (メモ 総レビュー数:3941件、2021年度47作品目)

詳細評価

物語
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演出
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