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火口のふたり (2019)

監督
荒井晴彦
  • みたいムービー 200
  • みたログ 676

3.16 / 評価:517件

特別な作家原作の「メランコリア」想起作品

  • ima******** さん
  • 2020年3月22日 2時05分
  • 役立ち度 3
    • 総合評価
    • ★★★★★

白石一文。私が最も好きな現存の作家。欧米文学の翻訳のような文体と距離感に入り込めずに完読を断念してしまうことの多い村上春樹より、濃密なドラマ・ロマンの渦に否応無く巻き込まれる白石一文の方が個人的に好み。最高傑作の一つと思う「私という運命について」(「神秘」に次いで好き)の映画化は、原作にかなり忠実で決して悪くなかった。ただ今回、彼の作品の中でも変化球的なこの作品の映画化は驚いたし、嫌な予感しかしなかった。
さて、鑑賞してみると、絶賛は出来ないものの、見方によってはそんなに悪くもなかった。
プラス面としては、主演2名の力量。これで押し切った感がある。マイナス面として、演出はポルノ寄りすぎかな。でも女優の魅力で、普通のAVと別次元で押し切ってる。現実的で生々しい美しさ。美しいけど浮世離れしてない人間の生々しさ。
もっと終末感が欲しいとは思った。終末の気配下で必死に愛し合う感は薄め。思い出したのは洋画「メランコリア」。不安感ありながらも切羽詰まるその瞬間まで、ひたすら下世話で取るに足りないやりとりが続いた末に、辿り着く最期は鳥肌が総毛立つような終末。物凄いカタルシス。大事なもの、たわいないもの、何もかもすべてが一緒くたに消え去る瞬間を描いた、ネガティブなのかポジティブなのかすら判別不可能に陥る究極の悲劇美。その桁違いにコストをかけたであろう映像を省き、低予算で類似のモチーフを映画に仕上げたと思われる邦画、それがこの「火口のふたり」。
この作品に少しでも何か感じた人には、映画「メランコリア」と、白石一文の小説に、ぜひ接してほしいと思いました。どちらも万人ウケはしないかもだけど、ハマる人はどっぷりハマると思います。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • ファンタジー
  • スペクタクル
  • ロマンチック
  • パニック
  • 絶望的
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