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ジェミニマン (2019)

GEMINI MAN

監督
アン・リー
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3.44 / 評価:831件

解説

『スーサイド・スクワッド』『アラジン』などのウィル・スミス主演によるSFアクション。若いころの自身のクローンに命を狙われる暗殺者が、陰謀に巻き込まれる。メガホンを取るのは『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』などのアン・リー。『10 クローバーフィールド・レーン』などのメアリー・エリザベス・ウィンステッド、『クローサー』などのクライヴ・オーウェンらが共演。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

腕利きのスナイパーとして、その名をとどろかせるヘンリー(ウィル・スミス)は、政府からのミッションに臨むが、正体不明の人物から襲撃を受ける。自分の動きや考えを見越しているだけでなく、バイクを使った武術を繰り出す襲撃者にヘンリーは苦戦を強いられる。やがてヘンリーは襲撃者を追い詰め、襲撃者の正体が若いころの自身のクローンだと知る。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)2019 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.
(C)2019 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.

「ジェミニマン」科学の進歩への批判をはらむSF活劇が、映像技術の進化で実現する妙味

 ウィル・スミスの長年のファンがもし予備知識ゼロで本作を観始めたら、彼が演じる主人公のヘンリーと同じくらい驚愕するだろう。彼は政府に依頼された数々の狙撃を成功させてきた凄腕スナイパーだが、陰謀に巻き込まれ何者かに襲撃される。ほどなく明らかになる刺客の顔は、なんと若い頃のウィル・スミス自身なのだ!

 ただし、主人公が自身の若いクローンと対決するというプロットは、宣伝でも予告編でも一番の“売り”として明示されている。したがって観客側に心構えができている分、ヘンリーほどその正体に驚けないのが少々残念とはいえ、パフォーマンスキャプチャーとCGで描画された若きウィル・スミスのリアリティーは圧巻だ。さらに、毎秒60フレームものハイフレームレート(HFR)の3D画像を投影する先進規格「3D+in HFR」により、対応するスクリーンでの上映時の高精細度や没入感は別格なのだが、その澄み渡る鮮明な画質においてさえ、CGの顔の“作り物感”がほとんど気にならないのは大きな映像的達成と言えるだろう。

 アン・リー監督は、武侠活劇「グリーン・デスティニー」やヒューマンドラマ「ブロークバック・マウンテン」など多様なジャンルを手がけつつ、ストーリーテリングと詩的な映像美の融合が高く評価され、主要映画賞を数多く受賞してきた。「ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日」以降は3Dに傾倒し、前作「ビリー・リンの永遠の一日」で初めて3D+in HFRを採用している。毎秒24フレームのフィルム上映に慣れ親しんだ層には、「ジェミニマン」のクリアで滑らかな映像に“映画らしい味わい”が乏しいと感じる人もいそうだが、これも上映形態の多様化の流れとして受け止めたい。

 題名に含まれる「ジェミニ(Gemini)」は、ストーリー上は政府の極秘プロジェクトの名称だが、言葉としてはギリシア神話でゼウスが誘惑した女性に産ませた双子の兄弟に由来する。脚本の意図には当然、神の領域を侵して一卵性双生児のようなクローンを作り出す生物工学など、科学技術の進歩の行き過ぎに対する批判と警鐘がある。筋やテーマとしては、「私を離さないで」「LOOPER ルーパー」「月に囚われた男」「複製された男」などで語られてきた要素も含まれ、若干の既視感がなくもない。とはいえ、そうした科学の進歩に警鐘を鳴らすメッセージを、最先端の映像技術を駆使して語るという行いにシニカルな含みを感じ取れるし、名匠と呼ばれるようになって久しい現在64歳のリー監督が、今なお新たな映像表現を求めて挑戦を続ける姿勢にはただただ感嘆するしかない。(高森郁哉)

映画.com(外部リンク)

2019年10月24日 更新

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