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上映中

メランコリック (2018)

監督
田中征爾
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3.88 / 評価:91件

解説

深夜に人が殺される銭湯を舞台にしたサスペンスコメディー。第31回東京国際映画祭日本映画スプラッシュ部門で監督賞、第21回ウディネ・ファーイースト映画祭でホワイト・マルベリー賞に輝いた。本作で長編デビューを飾った田中征爾、主人公を演じた皆川暢二、本作にも出演した俳優でタクティカル・アーツ・ディレクターとしても活動している磯崎義知が立ち上げたユニット One Goose が製作。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

名門大学を卒業したがさえない毎日を過ごしていた和彦(皆川暢二)は、ある夜偶然訪れた銭湯で高校の同級生・百合と再会する。そこでアルバイトを始めた和彦は、その銭湯が営業を終えた後、風呂場を「人を殺す場所」として貸し出していることを知る。そして同僚の松本(磯崎義知)は殺し屋だった。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)One Goose
(C)One Goose

「メランコリック」バイト先の銭湯で殺人…なのに共感度高めなお仕事ムービー!?

 昨年、「カメラを止めるな!」がヒット前に観客賞2位を受賞したウディネ・ファーイースト映画祭で、新人監督作品賞を受賞。ぜひ「カメ止め」に続くヒットになって欲しい快作だ。

 東大を出たものの、フリーター&実家暮らしでうだつのあがらない30歳の和彦(皆川暢二)が近所の銭湯でバイトを始める。同時に面接にきた金髪の松本(磯崎義和)も採用され、一緒に働くことに。ある深夜、和彦は銭湯に灯りがついているのを見つける。そう、この銭湯は閉店後、別の顔を持っていたのだ――。

 まあズバリ言うと「人を殺す場所」として使われていたわけです。ヤクザに頼まれて拉致してきた人物をここで殺す。掃除がラクだから(苦笑)。松本もそれを手伝っていた。そして和彦も殺しの後始末を手伝うことになるが……? という展開。

 フツーじゃない状況なのに、妙に「筋」が通っていて、登場人物たちが妙に淡々としているところもおかしい。優しげな顔で血みどろのタイルを「掃除しといてね」と言う銭湯オーナー(羽田真)のシュールさ。チャラそうな松本のある才能の意外さ。バイオレンスにほんわりする恋愛に、30歳ダメ男の成長にコメディにどっきりホラーと、様々な要素が見事に集約されていく。

 一番うまいなと感心したのが、ある種の「お仕事ムービー」になっているところ。殺人がルーティンワークになっている様子もそうだが、そもそも和彦が銭湯の裏の顔を知るきっかけは、バイト仲間の松本に感じた「やっかみ」からなのだ。松本がオーナーに話しかけられているのを目撃し、「なに話してたの?」と聞くも、「いや、なんでもないっす」。同時に仕事を始めたはずなのに、なんかアイツのほうが可愛がられてる? とモヤモヤ。底に潜む「東大卒」のプライドの発露なのかもしれないが、このへんのビミョーな心理描写が見事で、お仕事経験者ならば誰もが共感することだろう。

 本作は和彦役の皆川暢二がプロデューサーを兼務し、監督の田中征爾、松本役の磯崎義和も別の仕事を持っている、いわば“兼業映画作家”チーム。彼らの社会での経験値が、この映画をおもしろくしている大きなポイントかもしれない。(中村千晶)

映画.com(外部リンク)

2019年8月1日 更新

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