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上映中

世界の涯ての鼓動 (2017)

SUBMERGENCE

監督
ヴィム・ヴェンダース
  • みたいムービー 91
  • みたログ 139

3.25 / 評価:114件

透明な壁の向こう側

  • yk1***** さん
  • 2019年9月8日 22時40分
  • 閲覧数 197
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

ヴェンダースはその長いキャリアの節目節目に
透明なガラスの壁を映画の中で効果的に用いてきた

初期のロードムービー「都会のアリス」ではあてどなく車で彷徨う二人がフロントガラスに見る街の風景
代表作「パリ・テキサス」でのマジックミラー越しに再会する二人を描き
3Dを取り入れた近作「誰のせいでもない」では窓を隔てた外の世界と中の世界を3D技術によって視覚的に表出してみせた

そして「パリ・テキサス」では電気を消すことでマジックミラーが透明なガラスへと変わり二人がお互いを確認する場面
「誰のせいでもない」は主人公が窓を開けて少年を迎え入れて初めて同じ世界で二人が出会うシーンなど
この透明な壁を越える瞬間を映画のクライマックスに据えてきた

本作では海が透明な壁の役割を果たしている
女性学者は遥かな海の向こうに恋人からの連絡を待ち続け
ソマリアの海に飛び込んだ主人公は幻想の中で北の海にいるはずの恋人に再会する
だが本作の評判が芳しくないのはこの部分の分かり辛さに起因しているように思われる

今までヴェンダースが築いてきた透明な壁は
二人を隔てながらも同じ場所と同じ目線を共有していた
「ベルリン天使の歌」での同じ場所にいながら人間からは見ることのできない天使との関係性も
この透明な壁の亜種であると言えるが
それでも二人が同じ場所に立った上でストーリーが展開する

本作では人間の70%は水分であるという会話や
海底を彷彿とさせるソマリアの収容所など
海と水のイメージを通じて二人がつながっている描写を丁寧に積み上げようとしていたが
それでも透明な壁に見立てた海水を超えて恋人に再会するというラストに
納得がいく人は少ないように思える
物理的な距離の跳躍にファンタジーとしてのリアリティが追いつかなかったのだ

この点はイスラム問題をもう一つの主題としてに取り上げたことが
本筋のブレと掘り下げ不足に
大きく影響しているように思われるが
映画が語るべき世界の問題としてヴェンダースが取り上げた以上
その心意気は非難すべきものではないのは確かだ

しかしながら映像作家ヴィム・ヴェンダースの魔法がラストシーンに掛からなかった場合には
本作は「世界は海でつながっている」という単純な主題に落ち着いてしまうのだ

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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