レビュー一覧に戻る
シンクロ・ダンディーズ!
2019年9月20日公開

シンクロ・ダンディーズ!

SWIMMING WITH MEN

962019年9月20日公開

Dr.Hawk

3.0

ネタバレいつまでも、男は漢でいたいもの

2019.9.26 字幕 シネリーブル梅田 2018年のイギリス映画 実在するスウェーデンの男子シンクロチームのエピソードを基にしたヒューマンドラマ 中年の危機に直面した8人の男性で構成されるシンクロチームが非公式の世界選手権に挑戦するまでを描いている 監督はオリヴァー・パーカー 脚本はアシュリン・ディッタ 物語は主人公のエリック・スコット(ロブ・ブライドン)の日常が描かれて始まる 彼は大手企業の会計士で妻ヘザー(ジェーン・ホロックス)は地方議員に当選したばかり 一人息子のビリー(スパイク・ホワイト)からは尊敬されているとは言えず、パッとしない毎日を過ごしていた 彼の楽しみは仕事帰りにスイミングプールで泳ぐことだった ある日、スイミングプールで妙な動きをしている男性集団と遭遇するエリック どうやら彼らは団体演技をしているようで、エリックはそのチームに数学的アプローチの助言をする そんなエリックを気に入ったチームは、彼をメンバーに引き入れることに決めた シンクロのメンバーは7人 不動産屋のルーク(ルパート・グレイヴス) 隠居生活を送るテッド(ジム・カーター) 建築家のコリン(ダニエル・メイズ) コリンが保護者になっている問題児のトム(トーマス・ダーグース) 陽気なひげもじゃカート(アディール・アクタール) あがり症のニューガイ(ロナン・ダリー) 寡黙なサイレントボブ(クリス・ジェプソン) このメンバーにエリックが加わって8人構成となるのである チームにはルールがあって、 会のことを公言しない 仲間のために泳ぐ プールにプライベートや仕事は持ち込まない 仲間の詮索をしない など そうして同じプールで子供たちに水泳を教えているスーザン(シャーロット・ライリー)の主催するパーティーで演目を披露することになるのである 「余興」を無事に終えた彼ら スーザンに猛アプローチをするスウェーデンのシンクロナイズド・スイマーのジョナス(クリスチャン・ルーベック)から「非公式の世界選手権に出ないか?」と誘いを受ける 会の趣旨とは反し、誰もが決めかねている中、出場したい(スーザンにいいところを見せたい)ルークからの強い打診についOKを出してしまうエリック 舵を切ったかのように、お互いが「出よう」と言い出し、そしてスーザンにコーチングをお願いするのである 物語は「中年の危機」を描いており、ミドルエイジ・クライシスあるいはミッドライフ・クライシスなどと呼ばれるものである 大まかには、 加齢による身体的変化 家族内のライフサイクルの変化 職場環境の変化 による「中年期特有の心理的危機」のことである エリックの場合は「妻の地方議員当選」という事象に加えて、職場で「脱税まがいの仕事を任される」という価値観を大きく揺るがす事態が起きる これにより「周囲はそんなこと思っていないのに」本人はそう思い込むという悪循環に陥る 自身の仕事は頭打ち、妻は華やかな世界に出て、魅力的な人々(ルイスなど)に囲まれ収入も負けてしまう そんな中で「自信を失い、自身を見失う」のである 世界選手権はそんな自身のない自分に「根拠のある自信」を取り戻す旅であり、そこにスーザンをものにしたいというルークの思惑が絡み合う ふたりは家庭内不和の中にいる孤独であり、その共闘がもたらす報酬はお互いに「パートナーを取り戻す(得る)」というものである 世界選手権の結果を受けて、自分なりの成果と自信を得たルークはスーザンを抱きしめ、そしてエリックはルイスを殴ることによってケジメをつける ルイスにその気があったのかどうかはわからないが、明確な不倫でもないので気の毒に思えたが、話の流れ上はコミカルなオチとして描かれているので問題ないだろう 演技披露の前にみんなを鼓舞するスーザン 「欲しいものは手を伸ばして掴み取って」 そのあとの表情がいじらしい 「ここで行かなきゃ男じゃないぜ!」と誰もが思った瞬間である 練習不足で勝算のないまま、直前の演技でリフトを決められたことに奮起した彼らは、阿吽の呼吸で宙返りを決める 誰もが思いもしないことをする その落差が印象を大きく変え、その賞賛が見える(根拠に満ちた)自信へと変わるのである いずれにせよ、負の思考に入ったエリックは「妻に捨てられるんじゃないか」という強迫観念からネガティブな思考へと突き進むのだが、こう言った場合には「自分で」火を灯さなければならない 単なる仲間とのシンクロだけでは得られないもの 頼られることの大切さも、自分の魂が乗らないものでは意味はなく、脱税の片棒を担ぐことでは得られないものである 同年代、同境遇のルークにできたことを自分もしたい そうした夢の共有はみんなを動かしていくのであろう

閲覧数523