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アス (2019)

US

監督
ジョーダン・ピール
  • みたいムービー 253
  • みたログ 1,163

3.26 / 評価:921件

「私たち」

  • bar***** さん
  • 2020年7月9日 12時45分
  • 閲覧数 1928
  • 役立ち度 4
    • 総合評価
    • ★★★★★

アス。

私はこの映画を見終える前に、ネット上にある解説を読んでいます。

たぶんそうしなければ、この映画の本質を逃していたかもしれません。

この映画はドッペルゲンガーのような人たちが地下に住んでいて、地上の人間を殺していくというホラー映画です。

中盤までは平和な家庭の風景が描かれます。ただところどころに暗喩が散りばめられていて、やや不気味な雰囲気が漂う感じ。後半になってくると謎のドッペルゲンガーたちが現れてホラーからバトルアクションのように変化していく。

このドッペルゲンガーたちは何なのか。

私の読み解きが甘かったのか、それは分かりませんでした。超常現象などではなくて、社会的機構に組み込まれている謎の人々という感じです。

で、解説サイトによれば、これは貧困層の象徴なんですってね。

そう言われてみれば分かる気がします。「ハンズ・クロス・アメリカ」というキャンペーンが作品内で登場していますが、これは実際にあったことで、アメリカ国内の貧困層を救おうという運動だったそうです。

ドッペルゲンガーたちが地上の人々を殺した後、手をつなぎ合いますが、ここの部分の意味は、「あの運動を思い出せ」「我々貧困層を思い出せ」という表現のように思います。

地下で暮らしていることの意味は、「誰からも見えなくされているけど、実際には存在している」ということだと思います。

だとすると社会派ホラーともいえるのではないかと思います。意味が分かると深い話です。

で、中盤から終盤にかけて、ドッペルゲンガーたちとの死闘が繰り広げられるわけですが、主人公たちが強い。まあ超常現象とかと違って、目の前にいるのは生きている人間ですから、立ち向かうシナリオになるのは必然ですが、容赦なく殺していくところに不気味さを感じます。相手は自分や友達と同じ顔をした人間だったりします。

ここの意味はよく分かりませんが、富裕層の象徴である主人公たちともいえど、善人ではない(=結局は暴力に頼る)ということを言いたかったのかなと思います。

ただ大人しく殺されれば良かったのかというと違いますよね。

ここは深い。

で、ラストは衝撃的な事実が判明する。

ここも示唆に富んでいて面白いです。最後の微笑みの意味は何でしょうか。

アメリカの格差問題は非常に根深いため、容易に解決できない問題だと思いますが(反対派も暴力を用いているところがあるため)、このようにどぎつく社会にメスを入れる作品は面白かったと思います。

ホラー映画としてはどうだったのかというと、これはホラー映画の皮をかぶった社会派ドラマだというのが私の考えなので、ホラー映画としては(エンタメ作品としては)たぶんあまり面白くないと思っています。

その暗喩の意味を読み解くカギを持っていた人にのみ、この映画の本質は見えてきます(私は解説サイト頼り)。そしてその見せ方は誰に対しても開かれていたわけではないと思います。

分かる人が見れば面白いけど、分からない人が見てもあまり面白くはない、そういう映画だと思います。

じゃあ、知識がないやつはこの映画を見るな、ってことにはならなくって、それはこの映画が不親切な映画だという評価をするのが妥当な判断だと思います。

面白いんですけど不親切なところはありますよね。もしそこを両立させることができていれば誰の記憶にも残る名作になったでしょうね。そこが惜しい。

あとはアクション要素ですが、これはアメリカンホラーのお決まり的な要素という印象が強かった。もうちょっと背筋がひんやりとするような情感を演出して欲しかったかな。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 不気味
  • 恐怖
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