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アス (2019)

US

監督
ジョーダン・ピール
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3.26 / 評価:918件

客との距離感

  • uqj***** さん
  • 2020年7月12日 0時47分
  • 閲覧数 1089
  • 役立ち度 1
    • 総合評価
    • ★★★★★

結局のところ、ドッペルゲンガー達が貧困問題の
メタファーだというのは映画前半が終わるまでには充分に想像がつくんだけど
前フリが長すぎるのよな。それにはっきり言って、7thコード(和音の名前)を使った「音フリ」がいちいちワザとらしすぎて、映像はそこそこいいのに何故か全体に安っぽい仕上がりなんだわ。
映像の恐怖感を音楽演出・効果音の挿入に頼り過ぎなのよ。

で、その音楽(というか効果音。7thの)の出来自体がセンスがいいようで、
実は微妙にダサい。シャープなようでいて、微妙~に、どうも古い。
で、監督はどうも
「そこのところが逆に新しいだろう」を狙ってるんだけど、
 実は監督の音センス自体が実は微妙に古い、

 と。

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で、最初にあの{奥さんのドッペルさん}が喋り出す時の過剰に
不気味な発声も、その最初のほんの1秒か2秒はこっちの観客側も非常に不気味なんだけど、もう次の「3秒目」からは俺ら観客側はその
「微妙~なアイデアの貧困さ」に飽きてしまってるのよ。
ああいう「変声(ヘンゴエ)」の。

監督のやってる事がいちいち、なんかビミョ~にハズしまくってるんですわ。

全てにおいて{ヒッチコック感}が趣味良くホトバシりまくってはいますが、
同時にやってる事は全部、いちいちズレてんですね。
「センスいいように見えて、監督の方が客の感覚に遅れをとってしまっている」
 みたいな。

で、それが積みに積み重なっていってどんどん作品として
「もお~、早よ終わってくれへんかなああ~」に、映画館全体の雰囲気が
 膨れ上がってしまっている、という。

あの子供の顔のケロイドみたいなのにしたって、見た瞬間から俺らが考えるのは
「CGかな? やっぱ特殊メイクかな?」の方向に行ってるに決まってるのに
 ああいう物のその、全体の話・プロットの流れの中での
{観客側からのリアリティ具合の認識のしかた}というものをあんまり
 考慮してないのよ、監督が。 考慮できていないのよ。

 ああいう特殊メイクみたいなのがこの手のストーリーの中で通用するのは
 せいぜい80年代までなのだ、という現代の空気みたいなものが
 監督の側につかめていない。

・・

こういう話全体が、かりに舞台上の「演劇」であれば
俺ら観客の側もそういう場に合わせた自分のマインドセッティングと、
対するクリエイター側の「リアリティの扱いの度合い」に
自然とシンクロしていけるのに

         監督の側に最初の段階から

           {客との距離感}

   というものが計れていない部分がひたすら肥大してしまっている。

   あたらしいセンスを持った映画のようで、妙に時代とズレている。

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ま、前作よりは腕を磨いて来たなあ、というのは感じましたが
この監督はちょっとオタク的に一日中暗い自分の部屋の中だけで
映画のプランを練り過ぎな人なんじゃないかなあ、とは思いました。

言いたいことがあるのは分かるけど、
こうまでして『客の感じる鬱陶しさ』を物理的にブーストさせてしまっては

いつまでたっても{映画のメッセージ性}にしか興味のない
米国の頭でっかちな評論家達に受けるだけで、
この先どんどんラース・フォン・トリアーとかさ、
ああいうのになっていくだけだと思いますわ。 ひたすらマイナーな。
ひたすら資金繰りに苦労するゲイジュツ系の、やりにくいタイプの。

・・ま、これは米国では昨年の公開なんでね、
今観れば『今の米国内の苛烈な分断状況のメタファーか?!』みたいに
考える事もそりゃまー、可能ですけどね、USが合衆国なのだ、とか言って。
ただこれ、主格の「We」でなく目的格の「Us」なのは俺は結構大きいなと
思っていて、要するに客観的な視点で見て、
俺らの立地点の存在は何なのか・俺らの
存在は何によって支えられているのか今こそ見つめ直そうぜ、ってことを
言いたいんじゃないかな。

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最初の方で家族そろって家の中であとずさりしていく表現とか
メッチャ、ヒッチコックそのまんまの構図で嬉しかったわ。

あの家の中の60年代前半風の内装も
もろにヒッチコックリスペクト、丸出しやったなあ。



前作『ゲット・アウト』(2017)の
マイレビューは2018年1月3日投稿です。

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