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上映中

ブラインドスポッティング (2018)

BLINDSPOTTING

監督
カルロス・ロペス・エストラーダ
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4.02 / 評価:81件

人は皆、“盲点”に陥っている

  • min***** さん
  • 2019年9月29日 12時33分
  • 閲覧数 322
  • 役立ち度 0
    • 総合評価
    • ★★★★★

アメリカ・サンフランシスコの都市・オークランドを舞台に、黒人の男性・コリンとその幼馴染で白人のマイルズのとある3日間を描くヒューマンドラマ。

福岡では封切りから約1ヶ月遅れで公開。
ここでの封切り鑑賞組の絶賛評を読んでウズウズしていた。

とある犯罪を起こし、2ヶ月の刑期を終えたコリン。裁判官から1年間の指導監督期間が与えられ、移動範囲の制限や23時の門限などを守らなければならなくなった。それから時は流れ、残り3日。コリンはマイルズとともに引っ越し業者で働いていた。
マイルズを家まで送った後、慌てて帰ろうとするコリン。そのトラックの前に黒人男性が通りがかり、「撃たないで!」と叫んだが、無情にも男性は警官に射殺されてしまった。

タイトルの「ブラインドスポッティング(BLINDSPOTTING)」は「Blind Spot」、つまり盲点に由来する造語。
盲点という言葉の意味は複数あるが、この作品では黒人と白人という人種格差や、オークランドの再開発(ジェントリフィケーション)によって生じた貧富の差の中にある“見えない部分”のことを指していると思われる。
それがわかりやすく表現されているのが、劇中に出てくるルビンの壺。壺にも向かい合っているふたりの横顔にも見えるあの有名な図形を引き合いに、ついつい人々が“盲点”に陥っていることに警鐘を鳴らす・・・というのがテーマである。

人種格差の面では、いまだに根強い黒人への偏見が残っていることが分かる。
あの黒人男性射殺の次の日、TVでは完全に犯罪者扱いされる黒人男性。だが、その後にコリンが現場で目にしたのは黒人男性への献花。どこかで男性の死を素直に悲しんでいる人がいるのだろう。
そして物語が進むと、コリンが捕まった事件の概要が明らかになってくる。ド派手なカクテル(どうやって用意するか気になる)を自慢しようと外に出たお客さんを店番のコリンが殴り、更にマイルズが加勢。だが、結局捕まったのはコリンだけだった。

黒人男性射殺を目撃したコリンが困惑したのは、ただ単に殺害の瞬間を見てしまったからだけでなく、自分がかつて経験ようなことが今なお繰り返されてしまっていることを察したからと言えよう。
実際のオークランドでは2009年、黒人男性が白人警察に射殺されるという事件が起きており、これが物語に反映されている。
とはいえ、指導監督期間状態のコリンは良かったほうかもしれない。終盤、コリンの周囲にあの男性のように不幸にも無くなってしまった黒人たちの幻影が映るシーンを見てそう感じた。
コリンは事件以降、きちんとした生活を送り、銃を所持するなどなにかと短気なマイルズがトラブルを起こさないよう見守っている。彼のような黒人は多いはず。なのにその思いはラップでないと白人に伝わらない・・・。黒人の憤りが伝わってくる。

そしてジェントリフィケーション。
オークランドではIT企業の参入に伴って高級住宅街が整備されている。コリンとマイルズは街の変化をあらゆる面で実感している。
ビーガンメニューが導入された馴染みのファストフード店に、10ドルの青汁。切られてテーブルにされる大樹。そして、街から追い出されると嘆く写真家のおじいさん・・・。

主演兼脚本担当のふたりは劇中のコリンとマイルズと同様、長年の友人であり、オークランドにゆかりがあるという。だからこそ、作品の説得力が強かった。
オークランドが抱える様々な問題は、そのままアメリカという国が抱える問題にもつながってくる。オバマ前大統領が「ブラック・クランズマン」などとともに2018年の年間ベスト映画に選んだのも納得できる。

終始、スクリーンから漂う力強さに圧倒され、アメリカの今を知るのにうってつけな作品でした。

<余談>
ストパーなコリン、思わず笑っちゃった。

2019/9/28@ユナイテッド・シネマ 福岡ももち

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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