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エンテベ空港の7日間 (2018)

ENTEBBE/7 DAYS IN ENTEBBE

監督
ジョゼ・パヂーリャ
  • みたいムービー 81
  • みたログ 194

3.20 / 評価:128件

殺すテロと殺さないテロ

  • wxj******** さん
  • 2019年11月26日 17時43分
  • 閲覧数 674
  • 役立ち度 1
    • 総合評価
    • ★★★★★

ステージで奇妙なモダンダンス?パフォーマンス?を踊る場面で始まる。
一見、全く関係がないようだが、出演している一人との関係性が、後に判明。
このダンスシーンが随所でリンクしながら、物語は1日目から順を追って展開していく。

1976年6月27日、テルアビブ発パリ行きのエールフランス機が、4人のハイジャック犯に乗っ取られた。
犯人のうち二人は、パレスチナ解放人民戦線(PFLP)のパレスチナ人メンバー。
残り二人は、革命を志すドイツ左翼急進派メンバー、ボーゼとブリギッテ。

ボーゼを演じたダニエル・ブリュール、苦悩を滲ませても、やっぱりカッコイイ!(笑)
志が高く、理想と現実の狭間で揺れ動く、テロリストでありながら人間味のある男を熱演。

ブリギッテを演じたロザムンド・パイクも、またまた切なくてヒリヒリさせる。
強くたくましく、信念を持ちながらも、葛藤する女性の心情を見事に体現。

その後ハイジャック機は、ウガンダのエンテベ空港に着陸。
そこにはPFLPの兵士多くが待ち構えており、合流する。

犯人たちは500万ドルと、世界各地に収監されている50人以上の親パレスチナ過激派の解放を要求。

人質の中には、イスラエル人も多くいた。
多くの自国民を人質に取られたイスラエルのラビン首相は、交渉の道を探りつつ態度を保留。

一方、テロとの交渉に反対するベレス国防大臣は、士官らと人質奪還計画を練っていく。
1日、また1日と経過していく中で、じりじりとした駆け引きが続いていく。
人質たちは、緊迫した状況下の中、不自由な世活を強いられている。

そして、ボーゼとブリギッテは、自分達が目指す理想的な社会との乖離に戸惑い始める。
思想が正しかったのか、自らを見つめ、目指す世界の何が正義で悪なのか悩み模索する。

二人は、あくまでもPFLPに協力した形で加わっており、度々彼らの方針とぶつかる。
特に、ボーゼはあくまでも人道的な手段で実行することにこだわり、脅しはするが殺す気はない。
人質にもそれなりに配慮を見せるし、妊婦だと訴えられれば・・・という優しさも見せる。
そんな紳士的な彼のやり方は甘いと言われ、時に責められてしまうことも。

ボーゼは、ドイツ人であるというアイデンティティから、ナチと混同されてしまう事を懸念する。
人質に銃を向けながらも、虐殺者じゃないと訴え、苦悩するギャップが切ない。

テロという暴力行為で訴えることは、もちろん良くないが、こうなるまでに至る過程が深くて同情の余地があるというか。。。
一方的に悪として描いておらず、彼らの心情を掘り下げているのもリアルで良かった。

「ホテル・ムンバイ」と比べてはいけないだろうが、同じテロ行為でも全く違う。
片や、宗教的な観点から洗脳された若い兵士たちが、殺すことが目的でホテルの客や従業員を虐殺しまくったのに対し。
殺さずに同士の釈放を要求し、パレスチナ解放を目標に国を動かす革命を起こすことが目的。

なので、人質の目線ではなく、あくまでもボーゼとブリギッテの視点で描いていく。
殺すテロと殺さないテロとの決定的な違いが、やや緊張感を削がれる部分ではあるが、それだけこの問題は闇が深いという事だ。殺しても終わらない。

ラビン首相の苦悩も描かれるが、政府側の対応は当たり前というか、それしかないというか。
イスラエル国防軍は、着々と準備を進め、いざ人質奪還作戦を実行する。

クライマックスで突入し、激しい衝突の銃撃戦となる場面は、ダンスの場面とリンクさせ融合する演出となっている。
現場の緊迫感と、ダンスでの鼓動が、共に高まりを見せる。
奇妙奇天烈なダンスは、好みが分かれそうだが、エンタメ性のある演出は面白い。

ボーゼたちの結末も、想定内ではあるものの、あまりにあっけなくて虚しいばかり。
多くの人質を助けた奇跡の救出劇ではあるが、根本の問題は解決していないままなわけで。

イスラエル、パレスチナ問題はいまだに・・・と語られるラストも、切なくて虚しい。
事件の概要と、そこに至るまでの歴史的背景を知るには、史実に基づいており良かったと思う。

これまでにも映画化されてきた題材だが、40年以上経った現在に改めて映画化したことで、もう一度この問題を突き付ける意味でも今作の意義がある。
骨太で重厚な社会派の作品、シリアスで見応えありました。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • パニック
  • 恐怖
  • 絶望的
  • 切ない
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