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音楽 (2019)

ON-GAKU: OUR SOUND

監督
岩井澤健治
  • みたいムービー 89
  • みたログ 151

4.15 / 評価:108件

本能が選ぶ、心地よくて楽しい音と調べ

  • dr.hawk さん
  • 2020年3月6日 22時31分
  • 閲覧数 755
  • 役立ち度 0
    • 総合評価
    • ★★★★★

2020.3.5 シネリーブル梅田


2019年の日本のアニメーション映画
原作は大橋裕之『音楽 完全版』
不良トリオがふとしたきっかけで音楽を始めるほんわかコメディ
監督&脚本は岩井澤健治


物語はある高校でつるんでいる3人の不良が描かれて始まる

中心は研二(声:坂本慎太郎)、スキンヘッドで他校から恐れられているが、のんびりとした性格で何を考えているかわからない男だった

研二を慕うのはリーゼント頭の太田(声:前野朋哉)と巨漢の朝倉(声:芹澤興人)でいつも空いた教室でゲーム三昧だった

ある日、学校の帰りにひったくり現場に遭遇した研二は犯人を追う男から楽器を預かる

犯人は無事に逮捕され、その時からその楽器に取り憑かれた研二は太田と朝倉にバンドをやろうと言い出した

楽器の種類もわからない3人

研二の手元にある楽器をベースと知らずに太田は同じベースを選んでしまう

朝倉もバスドラムと太鼓を叩くだけで、ツインベースでワンコードをループ、朝倉が打楽器を打ち鳴らすだけだった

だがその感覚に感触を得た3人はバンド活動を続け、クラスメイトの亜矢(声:駒井蓮)に「これからはミュージシャンと呼べ」と言い出す始末

「バンド名は?」と聞く亜矢に対し、3人は朝倉が口走った「古武術」という名前を採択する

だが校内に「古美術」という紛らわしいバンドがいることが発覚する

それはフォークソングをこよなく愛する森田(声:平岩紙)が率いるスリーピースバンドだった


物語は「古武術」と「古美術」が褒め合い合戦に入ってから「ロックフェスに参加しないか?」という森田の提案に乗るところから動き出す

だが元より飽きっぽい研二は早々にリタイア

亜矢にボーカルをしろと言った矢先からの放棄に周りは唖然とする

だが「いつものことだから」と太田と朝倉は人知れず練習に励むのであった


71分の上映時間だが「間」が多すぎてテンポは最悪である

一言で言えばシュール

映画は「音楽に対する初期衝動」を描いていると言われるが感じない人には感じないレベルである

この辺りは中高生時代に同じ経験があると笑えるようで、観賞後に漏れ聞こえた声の中に「あの頃の自分を見ているようだ」というのがあって共感できる人には絶妙なようである


私には音楽活動の経験はなく、文系一筋で小説を書いていた青春時代なので楽器をさわった記憶はアルトリコーダーで止まっている

無論小学生のときにソプラノリコーダーを演奏した経験はあったので、最終局面で研二がリコーダーで乱入してきたときには笑わずにいられなかった


この映画を難しく考える必要はないのだが、さすがに音楽畑の人が作っているだけあってバンドの成り立ちが音楽の進化に見えて面白かった

ツインベースとドラムはいわゆる「リズム隊」であり、コード進行とテンポを司っている

そこに加わったのが研二のリコーダーでこれは主旋律あるいはメロディと呼ばれるものだろう

そして吹っ切れた森田がギターで参戦し、これはハーモニーを担当しているのかなと思った

音楽の3要素である「リズム・メロディー・ハーモニー」にて根幹が作られ、森田の仲間のキーボードと本格的なドラムセットが加わる

こうして出来上がった音楽は意味のない適当な音階を刻んでいるのにも関わらず十分音楽として成り立っているのが不思議である
(それを意図して作曲しているところが凄いのだが)


ボーカルを担当する亜矢は不遇で参加できなかったが、韻であるとか語呂などに捉われないメロディーを研二が刻んでいるので、要は「音は言葉よりも多言である」という趣なのだろう

とても原始的な音楽の誕生を描いていて、ワンコードの繰り返しやワンパターンのリズムの上に刻まれる不規則なメロディとそれを補完し旋律たらしめるハーモニー

一見無茶苦茶に見えても聞き入ることができる音楽とは考えるよりも感じるという本来の「思想の体現」を見せつけていると感じた


いずれにせよ、このゆったりしたノリが合う人は概ね好評価だけどダメな人はトコトン駄目だと思う

またストーリーが必要なタイプにも不向きで、どちらかと言えば「創作経験者」に響くタイプの映画ではないだろうか

音符や理論を理解するよりもとりあえず音を鳴らしてみる

これだけで人は何かしらの創作にふれることができる

ノルタルジックな匂いの先にあるもの

それはあなたを形成したある時代の渇きなのかも知れません

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 笑える
  • 知的
  • コミカル
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