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CLIMAX クライマックス (2018)

CLIMAX

監督
ギャスパー・ノエ
  • みたいムービー 77
  • みたログ 152

3.00 / 評価:113件

映画が怖い人はダンスPVだけ観てね

  • dr.hawk さん
  • 2019年11月8日 1時45分
  • 閲覧数 2915
  • 役立ち度 3
    • 総合評価
    • ★★★★★

2019.11.7 字幕 シネリーブル梅田


2018年のフランス&ベルギー合作の映画
とある山奥の館に集まったダンサーたちがLSDが混入したサングリアを飲んだことによってカオスに導かれるミュージカル・ホラー映画
監督&脚本はギャスパー・ノエ


物語は雪山を奇声を上げながら彷徨う女のドローンショットで始まる

そして場面はカメラに向かってインタビューに答えるダンサーたちにスイッチする

彼らは振付師セルヴァ(ソフィア・プテラ)とDJダディ(キディ・スマイル)が主宰するパフォーマンスのオーディションに合格した若者たち

その生々しい声が終わりを告げると、いきなりエンドロールが流れ出す

企業のロゴなども立ち並び、まるでオープニングとエンディングが混ざったような映像である

どうなるのかと構えていると、セローンの『SuperNature』によるパフォーマンスが始まる

統制が取れ、各ダンサーのソロが組み込まれたダンスが終わると、DJダディの声とともにパーティが始まった


物語は一部のダンサーのハイテンションを不可思議に思ったセルヴァが「サングリアの中にLSDが入ってるんじゃないか?」と疑い出すところから動き出す

そこから犯人探しが始まるものの、ドラッグでトリップしたダンサーたちに正常な判断力があるはずもなく、「飲んでいない」という理由でオマール(
エイドリアン・シソコ)を雪山に放り出し、妊娠しているルー(スヘイラ・ヤケブ)の腹を蹴るドム(ムニア・ナサンガール)など、行為はエスカレートし止まることを知らない

挙げ句の果てにルーは自分の腹をナイフで刺し、警官が来た翌日に外へと這い出る

冒頭の女はルーだったのである


物語は「LSD入りのサングリアを飲んだダンサーがバッドトリップする」というシンプルなもので、その構成が斬新で面白い

一度観ただけなので正確には覚え切れてないのだが、

1)雪山を這うルー
2)ダンサーのインタビュー
3)リハーサルダンス
4)エンドロール
5)パーティ
6)ダンスバトル
7)スタッフ&キャストロール
8)LSD疑惑
9)カオス
10)警察介入
11)目薬を差すプシュケ(テア・カーラ・ショット)

だったように思える

ぶっ飛んだところにエンドロールなどが入るのだが、「8)LSD疑惑」前後で物語は二分している

前半は秩序、後半は混沌というのはわかりやすいが、前半は「理性、賞賛、利他」、後半は「欲望、批判、自己」と言い換えることもできる

どちらが彼らの本性なのか?ということよりも、前半→後半に物語が動いたように見せているのが面白い


ダンサーの崩壊の過程を表層ではなく深層で並べ替えると、

2)ダンサーのインタビュー
6)ダンスバトル
7)スタッフ&キャストロール
5)パーティ
8)LSD疑惑
9)カオス
10)警察介入
1)雪山を這うルー
11)目薬を差すプシュケ
4)エンドロール

となる


ダンスの力量、思想を経て合格を勝ち取ったダンサーたちがリハーサルを無事に終えるまでが前半

褒賞としてのパーティ、LSD混入からの混沌、その幕引きが後半である

自己紹介(ダンスと思想)、パフォーマンス、リラックス、本当の姿へと至る中で、その境界線となったのは「セルヴィの疑念」である

彼女が「疑念」を持たなければ、そのまま楽しいパーティーで終わっていた

だが「疑念」という欲望に従順な自分の客観視が起きたことによって、深層の中に表層が混じり出す

この状態が混沌として現れ、それぞれが利己的で破壊的な行動を起こす

前半で秩序あるダンスを披露していた集団とは思えない崩壊は、LSDによって起こったというよりは「LSDが混入したという疑惑が表面化」して、それに身を委ねてきた自分を客観視した恐れがもたらしているのではないだろうか

事実、ドラッグの怖さとは「薬効による奇行」を顧みたときに初めて恐怖として認識される

ゆえにLSDによるトリップに能動的なプシュケや疑惑の外で認知を行わなかったダンサーは安眠し、笑みを浮かべている者がいる一方で、自己を破壊し尽くした成れの果てもいる

この極端な結末が恐ろしいのである


いずれにせよ、物語性はほとんどなく構成と音楽を楽しむ映画であり、この映画は「秩序」立てて作られている

ゆえに構成やエンドロールの位置には理由があり、始まりと終わりは対比になっている

それは境界線にふれた者(ルー)と境界線の存在を神の視点で見ていた者(プシュケ)として描かれている

プシュケはLSDのことを調べ尽くし、その愉しみ方を熟知している女であろうか

LSDを目に点したらどうなるのかは知らないが、彼女にとっては不意に起こる混沌とは違った「制御できる快楽」ということなのかも知れない

そう言った意味においてはとても興味深い映画ではありました

誰に薦めることもできませんが

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

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