レビュー一覧に戻る
草間彌生∞INFINITY
2019年11月22日公開

草間彌生∞INFINITY

KUSAMA: INFINITY

762019年11月22日公開

ローラー

5.0

ネタバレ草間彌生の芸術をより深く知るために

今まで草間彌生さんの展覧会を2004年、2017年と観ていますので、彼女の作品について大体知っているつもりでした。 でも、このドキュメンタリー作品を観て、草間彌生さんが日本人女性として、今までどのように生き、どのように戦ってきたのか詳しく知って、胸を打たれました。 彼女の生い立ち、ジョージア・オキーフの作品との出会い、渡米、人種差別や女性差別との戦い、作品を正当に評価されず、自分のアイデアを他のアーティストに盗用されることが続きます。 戦争を体験した者として、誰よりも戦争を憎んでいるからこその反戦活動をアメリカ以上に日本で誤解され、苦しむ日々。 精神を病んでの帰国。 芸術家として生きることには今でも困難が伴うものなのに、1950年代のアメリカで道なき道を切り拓こうとする日本人女性はどれほど大変だったことでしょう。 貴重なや写真や映像、当時を知る関係者の証言と共に見た彼女の足跡は、想像以上のものでした。 また、彼女の私的なパートナーだったジョセフ・コーネルとの関係や、うつ病からの自殺願望など、プライベートな部分を赤裸々に語る彼女の映像はとても貴重なものでした。 日本に帰国してしばらく経ってからの1990年代になってようやく、少しずつ正当に評価されるようになり、今では現代で最も売れっ子の芸術家となりました。 彼女の人生は戦いの人生だと思います。 父母と戦い、 自分の中に湧き上がる、表現したい欲望と戦い、 人種差別、女性差別と戦い、 他のアーティストとも戦い、 戦争と戦い、 自分の病と戦った。 草間彌生の作品を観る前に、あるいは観た後で、 より深く草間彌生の芸術を知るための優れたドキュメンタリー作品です。

閲覧数533