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アド・アストラ (2019)

AD ASTRA

監督
ジェームズ・グレイ
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2.81 / 評価:1,966件

解説

ブラッド・ピットとトミー・リー・ジョーンズが共演したスペースアドベンチャー。地球外知的生命体を探求する父親に憧れて宇宙飛行士になった息子が、父の謎を探る。『エヴァの告白』などのジェームズ・グレイが監督を務め、『ラビング 愛という名前のふたり』などのルース・ネッガをはじめ、リヴ・タイラー、ドナルド・サザーランドらが出演。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

地球外知的生命体探求に尽力した父(トミー・リー・ジョーンズ)の背中を見て育ったロイ・マクブライド(ブラッド・ピット)は、父と同じ宇宙飛行士の道に進むが、尊敬する父は地球外生命体の探索船に乗り込んだ16年後に消息を絶つ。あるとき、父は生きていると告げられ、父が太陽系を滅亡させる力がある実験“リマ計画”に関係していたことも知る。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)2019 Twentieth Century Fox Film Corporation
(C)2019 Twentieth Century Fox Film Corporation

「アド・アストラ」宇宙SF傑作群をたどる“旅”が、正統派スターの深化を照らす

 タイトルは「to the stars」(星に向かって)を意味するラテン語。製作を兼ねるブラッド・ピットが扮する宇宙飛行士ロイが、行方不明の父クリフォード(トミー・リー・ジョーンズ)を探しに太陽系外縁の惑星・海王星へと向かう旅を描く。監督のジェームズ・グレイは、前作「ロスト・シティZ 失われた黄金都市」にピット率いる製作会社プランBエンターテインメントが参加しており(主演も当初はブラピの予定だったがスケジュール都合で降板)、今作で満を持してのピットとの本格コラボと相成った。

 監督らが発言しているように、本作の筋は、父を探索する旅の展開を含む古代ギリシアの叙事詩「オデュッセイア」と、その影響を受けた「2001年宇宙の旅」や「地獄の黙示録」の流れをくむ。さらに、衛星軌道上での重大事故で幕を開ける「ゼロ・グラビティ」、地球を救うミッションに旅立つ「サンシャイン 2057」、引退した高齢宇宙飛行士が駆り出される「スペース・カウボーイ」(ジョーンズとドナルド・サザーランドが今作で再共演)、海王星で消息を絶った宇宙船の救助に向かう「イベント・ホライゾン」、宇宙空間に隔てられた親子がメッセージを伝えようとする「インターステラー」等々、宇宙を舞台にしたハードSF映画を想起させる要素が満載。宇宙探査が科学技術の発展と人々の夢と努力と勇気の積み重ねで前進したのと同様、SF映画も映像技術の発展と創意工夫の蓄積によって進化してきたことを再認識させてくれる。

 科学的な観点で気になる部分がないわけではない。だがグレイ監督自身、無重力の船内で泣いたら涙の水滴が顔を離れて浮遊するはずだが、ピットの演技を尊重し「(CGで加工したりせずに)頬を流れ落ちる涙をそのまま残した」とコメントしている。科学的な正確さより作劇や演出の効果を優先した描写が若干あるにせよ、フィクションを大らかに楽しむのが大人の鑑賞態度というものだろう。

 ブラッド・ピットは映画の前半、常に冷静沈着、自らを厳しく律し任務遂行を第一とする男を、抑制の効いた感情表現で描写。だが旅の途中の体験をきっかけに、封印された強い感情が湧き出すかのように言動を変化させていく過程を、繊細に的確に演じた。ハリウッドを代表する美男子俳優で、メソッド演技の実践でも知られる正統派スターのピットは、プロデューサー業での実績も糧に、一人芝居のシーンも多く高い演技力が求められる本作に臨んだ。「アド・アストラ」は、ピットが演者として深みと輝きを増し、“至高のスター”へと向かう旅のマイルストーンでもある。(高森郁哉)

映画.com(外部リンク)

2019年9月19日 更新

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