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フォードvsフェラーリ (2019)

FORD V FERRARI/LE MANS '66

監督
ジェームズ・マンゴールド
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4.26 / 評価:3330件

解説

1966年のル・マン24時間レースをめぐる実話を映画化した伝記ドラマ。フォード・モーター社からル・マンでの勝利を命じられた男たちが、王者フェラーリを打ち負かすため、意地とプライドを懸けた闘いに挑む。エンジニアを『オデッセイ』などのマット・デイモン、レーサーを『ザ・ファイター』などのクリスチャン・ベイルが演じる。『LOGAN/ローガン』などのジェームズ・マンゴールドがメガホンを取った。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

カーレース界でフェラーリが圧倒的な力を持っていた1966年、エンジニアのキャロル・シェルビー(マット・デイモン)はフォード・モーター社からル・マンでの勝利を命じられる。敵を圧倒する新車開発に励む彼は、型破りなイギリス人レーサー、ケン・マイルズ(クリスチャン・ベイル)に目をつける。時間も資金も限られた中、二人はフェラーリに勝利するため力を合わせて試練を乗り越えていく。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)2019 Twentieth Century Fox Film Corporation
(C)2019 Twentieth Century Fox Film Corporation

「フォードvsフェラーリ」豊穣な暗喩で綴られる三世代の女性の苦悩と映像の虚構性

 激情型vsクレバーなライバル走者の“闘争”を描いた「ラッシュ プライドと友情」(13)は、熱い人間ドラマをF1に求めた秀作として、筆者の中で位置付けられている。が、まさか同作の公開からわずか6年で、それを凌ぐモータースポーツものに出会えるとは面食らった。

 1960年代前半、大手自動車メーカーのフォードは自社ブランド拡大のため、フェラーリの独壇場だったル・マン24時間レースを制するマシンの開発に乗り出す。それはまるで、吉本新喜劇が笑い抜きの映画で米アカデミー賞を狙うがごとき、畑違いな野望だ。だがそれを可能にし、ル・マンでフェラーリを打ち負かすGT40マークIIを生み出したのは、レーサーあがりのカーチューナー、シェルビー(マット・デイモン)と、はみ出し者の凄腕ドライバー、マイルズ(クリスチャン・ベール)の“共闘”によるものだった。

 大衆車文化を先導したフォードがスポーツカー市場に打って出た史実は、このジャンルに精通していないと立役者の存在が見えづらい。そんな栄光なき天才たちの功績を、前作「LOGAN ローガン」(17)でスーパーヒーロー映画に迫真性を与えたジェームズ・マンゴールド監督が詳らかにしていく。そして同作で正義に準じたはずのミュータントが社会から疎外されたように、皮肉にもフォードの保守的な企業体質が、シェルビーとマイルズのマシン開発を困難へと追いやっていく。

 しかし作品の核にある二人の友情が、内外の障害をもろともせず、宿敵フェラーリチームが待つル・マンの決戦場へと彼らを駆け上がらせていく。互いをリスペクトしながらも、衝突の絶えない両者の関係性をマット・デイモンとクリスチャン・ベールが説得力あるものにし、そんな演技のぶつかり合いが、観る者の心に4DXばりに振動してくる。

 こうした要素に加え、観客を没入の深部へと誘うのが、劇中のデイトナ24時間レースやル・マン24時間レースの描写だろう。マンゴールドのチームはCGを極力排し、実際のコースに当時のマシンを走らせることで、物語に強靭なリアリティを与えている。作品の性質はドラマ「下町ロケット」に代表される池井戸潤原作の下請け逆転劇を彷彿とさせるが、良質を極めたレースシーンが、モータースポーツ映画としての価値を高めて揺るぎない。はからずもシネコンで、ガソリンやタイヤの焦げつく臭気さえ覚えるだろう。(尾崎一男)

映画.com(外部リンク)

2019年12月19日 更新

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