行定・山﨑・松岡トリオだからこそ
- yab***** さん
- 2020年11月21日 22時00分
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もし小説と映画に勝ち負けがあるとすれば、本作では、冒頭のシーンは小説の勝ち。ラストシーンは映画の勝ち。
正直ショーウィンドウで、お互い絵画を見ている出会いのシーンでもう観るのをやめようと思った。
山﨑賢人と松岡茉優が演じるには不自然過ぎる。そう落胆した。才能よりもプライドが優先する下北沢の小汚い演劇屋と女優を目指して上京してきた夢見る女性のキャラが彼らには似合わない。原作のイメージと違い過ぎる。そう失望した。
おまけに話は愚かな男の性(さが)のオンパレード。芝居じゃ食えないから女のアパートに居候。そのくせ自分のやるせなさを彼女に当たり散らす。なのに彼女がいつも笑顔でないと不安だし、歩調が同じだからいられるとか、身勝手な男心が炸裂。
しまいには、彼女の心が離れてくると必死に彼女の心を繋ぎとめようとする。まさに僕自身の過去の恋の失敗談を見るよう。ベタでどうでもいい世界だ。
ところがだ。最初は不自然極まりないと思ってた山﨑・松岡コンビが、次第にそれなりの味を出してくる。彼らがまさかのあるある下北沢若者群像に同化していく。ラスト、彼のうざい彼女への独白で終わる小説を、彼女に語りかけるような芝居とそれを観客席で観る彼女の設定に変えた行定演出には思わず涙。
行定・山﨑・松岡トリオだからこそなしえたミラクル!
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