「サングラス越しに見えています」
- 一人旅 さん
- 2020年5月9日 18時43分
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シュリラーム・ラガヴァン監督作。
殺人現場を目撃した盲目のピアニストが巻き込まれる騒動を描いたコメディ。
2010年のフランスの短編映画『調律師』に着想を得て制作されたインド映画で、芸術の追求のため盲目を装って生活している青年ピアニストが、演奏に招かれた元映画スターの自宅で妻&浮気相手による夫殺しの現場を目撃してしまったことから、妻の浮気相手で殺人に関与した警察署長から目を付けられてしまい―というサスペンスコメディで、“盲目を装い続けなければ殺されかねない”状況下における主人公の命を懸けた芝居の行方と、ひょんなことから出逢った違法臓器売買一味を巻き込んだ、浮気妻&警察署長を相手とした起死回生の反撃の顛末を描いています。
主人公が目が見えない映画―『暗くなるまで待って』(67)、『見えない恐怖』(71)、『5パーセントの奇跡』(17)等とは違って、“目が見えないを装っている”嘘つきピアニストを主人公にしたサスペンスコメディで、自宅で一人の時は健常者として過ごし、一歩外を出たらサングラス&杖スタイルで盲目のふりをして生活している主人公のユニークな行動様式に興味津々になれます。そして、図らずも殺人現場を目撃してしまったことで、犯人の男女から“本当は目が見えているのではないか”―という当然の勘繰りを向けられた主人公を襲うピンチの連続と窮地脱出のための秘策を、主人公と親しくなった胡散臭い臓器売買者3人組との奇妙な共闘と共に描いています。
映画の前半こそ殺人現場を目撃して一転窮地に陥っていく主人公の慌てふためきがハラハラドキドキ&ユーモラスに描かれますが、中盤以降はややトーンダウンしてクライムサスペンス色がより濃くなっていくのが特徴です。“主人公が嘘つき盲目者”というユニークな初期設定でスタートを切ったものの、終わってみればどことなく寂しさに包まれた物悲しい結末に着地してしまうため、インド映画らしい突き抜けた爽快感&満腹感を堪能できないのが惜しいところです。
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