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つつんで、ひらいて (2019)

監督
広瀬奈々子
  • みたいムービー 25
  • みたログ 31

4.00 / 評価:21件

とても心地よいドキュメンタリー

  • @tkitamoto さん
  • 2020年5月28日 21時19分
  • 閲覧数 237
  • 役立ち度 1
    • 総合評価
    • ★★★★★

2020年5月28日、茨城県の「あまや座」にて鑑賞。
コロナウィルスによる営業自粛後、最近になって、営業再開したばかりである。
このような映画が、地方で観られるということにまず、感謝しなければならない。

この「つつんで、ひらいて」という映画の存在は、同劇場に上映予定との告知にて初めて知った。
菊地信義氏が特集された「ユリイカ」は購入していたが、あまり熟読せず、積読状態であった。
申し訳ない。。。

若かりし頃から書店でふと手にとった気になる本が、ことごとく「菊地信義」の手によるものだった…。
だが、今、手ぢかにある書棚に「菊地信義」と刻印ある書物はあるのだろうかと、確認してみる。
すると、わずかに2冊しか確認できなかった。
・現代思想1995年10月臨時増刊「ゴダールの神話」
・中上健次1978-1980全発言Ⅱ(瀬古英雄+菊地信義名義)
まあ、ハードカバーの本など今でもあまり買わないし、買いたいと思っても文庫になるまで待つなどするわけで、無いのも当たり前でもある。
だが、なぜだろうか?
装丁:菊地信義という名前自体が、良い本であることの証のように思っているのは、ワタシだけではあるまい。

この映画、一言でいえば、たいへん良い映画であった。
この撮影者(監督)には、寄り添うという言葉が相応しい。
脇役として、猫がところどころに登場するが、まさしく猫のように菊地氏の傍らでひたむきにカメラを回している姿が覗える。
ドキュメンタリーとは、関係性を写すものである。
この映画で、菊地氏はあくまで自然体で自らの作業をさらけ出している。
そして、細かな説明も加える。
撮影者もあまり前に出ること無いのが、心地よい。

装幀とは、デザインだけでなく、紙という物に、インクによって印刷される「本」という工業製品を生み出すという一連の仕事であることを知ることができる。
それによって、売れ行きも変わるわけだが、何より本を売ることとは、筆者を読者に結びつけるきっかけを作る役割であることを、詳細にみせてくれる。
特に終盤、「受注する仕事で、創作するとはどういうことか?」との撮影者の質問に「人間とは関係性である」という菊地氏の返答に、すべてが含まれているように感じられた。

この映画こそ、極めて明確に関係性が写されている。
それでいて、装幀の制作過程を克明に記録している点も、ドキュメンタリー映画とはそもそも記録映画ともいわれていたことに準じている。
ワタシの好きなドキュメンタリー映画作家は想田和弘でもあったりもするが、この映画の広瀬奈々子は、作家でなく、撮影者というべきだ。
これは、ワタシなりの最大の賛辞である。

この撮影者、広瀬奈々子氏の父親が装幀家であったことは、映画の中では語られていない。
やはり、ユリイカ令和元年12月臨時増刊「装幀者・菊地信義」が重要な副読本であり、一緒に読むことによって、理解がより深まることになる。

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