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リンドグレーン
2019年12月7日公開

リンドグレーン

UNGA ASTRID/BECOMING ASTRID/YOUNG ASTRID

PG121232019年12月7日公開

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5.0

ネタバレアストリッド、そして母になる。

やはり、北欧の自然の風景はため息が出る程美しい。 主人公が悩み苦しむ場面が続いても、馬や牛や羊が登場するシーンが差し挟まれると、ほんのひと時でも気持ちが癒される。ニワトリがちょろちょろしているのがチラッと映り込んだだけでも、ほっとする。 世界中から愛され続ける児童文学作家アストリッド・リンドグレーン(1907~2002)は、スウェーデン南部のスモーランド地方で生まれ育った。その自然豊かなスモーランドは植物学者カール・フォン・リンネの生誕地であり、大手家具メーカー『IKEA』発祥の地だそうです。 この映画、原題「Unga Astrid」(Becoming Astrid)で描かれるのは、明るくて生き生きとした子どもたちが活躍するリンドグレーンの物語の作風からはなかなか想像し難い、若き日の意外な彼女の姿です。 幸せな子ども時代から一転して10代で未婚の母となり、生まれたばかりの息子をデンマークの里親(トリーネ・ディアホム)にあずけ、悩み苦しむ日々を送る。アストリッドを演じたアルバ・アウグストの熱演と、クリステンセン監督の巧みな演出に泣かされます。 この監督は幼い子どもの描き方も上手くて、「イヤ!」しか言わない2歳児の様子に観客から笑いがもれる。 その後里親マリアの病気のため、アストリッドは3歳の息子を手元に引き取ることになるのだが、その時のエピソードにも涙を誘われる。 実の母アストリッドの目の前で、坊やは「ママは?ママどこ?」とデンマークの養母を慕って泣きじゃくる。 小さくても色々と分かっている子供も悲しいし、実の母もつらいし、優しい養母さんもきっと複雑な心境だったことでしょう。 そして故郷の両親の助けもあって何とか試練を乗り切り、息子ラッセの母となるべく、強くなったアストリッド。後に夫となるリンドグレーン氏と知り合った頃、彼女が20代前半で映画は終わります。 『長くつしたのピッピ』を発表して作家としてスタートするのは1945年、アストリッド38歳の時でした。映画の終わりから10年以上たっていましたが、ピッピの出版以降は次々と作品を世に出して行きます。 アストリッド・リンドグレーンは、若き日の切なく哀しい想いを胸に深く刻み、自由な子どもの世界を描き続け、多くの子供達とその親の元気を支えた続けたのでありました。

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