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リンドグレーン
2019年12月7日公開

リンドグレーン

UNGA ASTRID/BECOMING ASTRID/YOUNG ASTRID

PG121232019年12月7日公開

Kainage_Mondo

4.0

リンドグレーン になる前の話。

原題は「 UNGA ASTRID 」( 若きアストリッド ) で、これから結婚するであろう Lindgren ( リンドグレーン ) 氏 は会社の上司として登場するものの、本作ではいい雰囲気になるところ止まりだ。にも拘らず邦題が「リンドグレーン」なのは、『長くつ下のピッピ』ほか数多の著作のファンを本作に呼び込もうとしたからだろう。 アストリッド に扮した アルバ・アウグスト ( 以下敬称略 ) が役に填まってじつに気持ち良かったが、彼女が、教会の保守的な構えや 男女の社会的格差に対して発言してゆく話などではなく、母性に焦点を当てた物語だった。もちろん作家活動以前の話。 兄から 町の ラーゲルレーヴ (『ニルスのふしぎな旅 』でノーベル文学賞を獲ったスウェーデンの女性文学者 ) だ~ と揶揄される程の文才があった アストリッド ( アウグスト ) 。16歳で地元の新聞社に雇われ、18歳の時に色々あって 社主の ブロムベルイ ( ヘンリク・ラファエルセン ) に結果的に翻弄されてしまうという流れ。ただ、この年上男性に恋愛感情を抱くに至る経緯がエピソードの積み上げ不足で、アストリッド の向こう見ずな誘いが唐突にしか見えなかったのが難だった。 ブロムベルイ から心が離れるきっかけとなった彼の身勝手発言についても、もう少し丁寧な押さえで、アストリッド の心情を描くべきだったが、 本作の見所は、まぁ~ 女性は受け身で大変だ~ と云うその辺りではなく、やはり息子 ラッセ との絆をどう取り戻すのか ? という母性の部分だったのだろうと思う。2歳半までデンマークでの里親 マリー ( トリーネ・ディアホム ) に育てられ、自分を母として接してくれない息子をどうするのか ? 上司の リンドグレーン の粋な計らいと共に、心温まる着地が良かった。アストリッド の小説を読んだ子供たちの感想が、所々で挿まれるのも面白かったね。

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