ここから本文です

ホドロフスキーのサイコマジック (2019)

PSYCHOMAGIE, UN ART POUR GUERIR

監督
アレハンドロ・ホドロフスキー
  • みたいムービー 40
  • みたログ 21

3.75 / 評価:16件

解説

『エル・トポ』などのアレハンドロ・ホドロフスキー監督が、これまでの自作を自ら解明する意欲作。91歳のホドロフスキー監督が編み出した心理療法“サイコマジック”をキーワードに、ホドロフスキー監督を頼る人々が心理療法を実践する様子を捉える。ホドロフスキー監督や、フランスのシンガー・ソングライターアルチュール・アッシュが出演する。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

“サイコマジック”を考案したアレハンドロ・ホドロフスキー監督のもとに、悩みを抱えた10組の人々が相談にやってくる。父親からの虐待によって自殺を考えたことのある男性、母親を愛せない女性、夫婦の危機に直面した男女らは、自分の無意識に言葉ではなく行為で訴えかけるそれぞれの処方を受ける。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)SATORI FILMS FRANCE 2019 (C)Pascal Montandon-Jodorowsky
(C)SATORI FILMS FRANCE 2019 (C)Pascal Montandon-Jodorowsky

「ホドロフスキーのサイコマジック」ホドロフスキーのアートが人々を救う瞬間の記録

※オンライン映画館「アップリンク・クラウド」にて先行配信中

************

 なんと妖しげなタイトルだろう。

 「ホドロフスキーの」の時点で映画ファンにとってすでに(良い意味で)妖しいのに、さらに「サイコマジック」という謎の単語が付いている。生半可な気持ちで観ては心が屠られる、そんな直感が湧いた。

 サイコマジックとはホドロフスキーが独自に考案した心理療法で、言葉を用いて患者を治療する精神分析とは異なり、行動させることで無意識化のトラウマに向き合わせるものだ。例えば、母に愛されなかった女性には、へその緒を模した糸で本人と女性役の人間とを結び、擬似的な出産シーンを演じさせる。父親から虐待されて育ち自殺まで考えた男性には、身体を土に埋め、その上に肉を撒きハゲタカにたからせる。死の疑似体験を経た男性は生まれ変わったように晴れやかな笑顔を浮かべる。心理療法に演劇のメソッドを取り入れる「ドラマセラピー」に近いものに思われるが、そこはホドロフスキーなので相談者に課すシーンは複雑かつ幻惑的だ。

 出演者は実際にホドロフスキーのもとに相談に訪れた人々だが、これは医療行為ではなく、あくまでこれをアート活動の一環であると言う。つまり、アートが人間を救えるという事実をこのドキュメンタリーは記録しているのだ。アートとは時に人の生存のために必要なのである。

 「こんな悪趣味なものがアートなものか」と思う人もいるかもしれない。しかし、そもそもアートとは人の心に衝撃を与えて変化を促すもの。そして、一般的には悪趣味としか言えない方法でないと救われない人々がこうして現にいるのである。

 これがアート活動であるがゆえに、本作で描かれる行為は、ホドロフスキーのこれまでの映画の内容ともシンクロする。随所に過去作品の断片が挿入されるのだが、それを観て、私は彼の映画を通じてサイコマジックを施されていたのではないかと気付かされる。彼の映画のお陰で私は生存できていたのかもしれない。そんなことを本気で思わせる作品だ。(杉本穂高)

映画.com(外部リンク)

2020年4月30日 更新

本文はここま>
でです このページの先頭へ