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上映中

劇場版「鬼滅の刃」無限列車編 (2020)

監督
外崎春雄
  • みたいムービー 3,089
  • みたログ 1.4万

4.05 / 評価:11710件

メガヒットの呼吸法

何故こんなに鬼滅の刃は人気なのか?
何故こんなに鬼滅の刃ばかり騒がれるのか?
もっと面白い漫画・アニメは他にあるのに・・そう思っている人もいることだろう。

語弊があるのが覚悟の上でズバリその疑問にお答えしよう。
確かに鬼滅より「面白過ぎる」と言っていいくらい、ずっと面白い作品はいくらでもある。


‥‥でもね。実は「面白過ぎる」マンガってマンガを読み慣れていない、もしくは全然読んだこと見たことがない女性や子供には味付けや個性が濃すぎたり極端すぎたりして
「なんかよくわかんない‥」「なんかキツくて無理‥」
で終わってしまう可能性があるんですよ。
鬼滅の刃はマンガ初心者にも優しい、
とっつきやすくてわかりやすくて程よい面白さだからバカ売れしたんですよ!!

具体的に言えばまず、状況説明もキャラの心情もテーマも全てセリフとモノローグで語ってしまう手法がとっつきやすくてわかりやすい。
なにもかも言葉で説明してしまうのは作品全体を陳腐にしてしまう可能性があるし批判されがちなのだが
その点、原作者の吾峠呼世晴先生が凄いのは実は文章力ではないかと私は睨んでいる。
絶妙なさじ加減のテンポとバランスでなおかつ独特なセンスで印象に残る言い回しで、常にスッと心地よく内容が頭に入ってくるのである。
そうやって成立した全てを馬鹿正直に言葉で語る手法が今までありそうでなかったものであり、むしろ逆にどこかシュールで新しい作風として確立しているとさえ言っていい。

肝心の内容自体も陰と陽のバランスのさじ加減が良くてとっつきやすい。
人が食われ鬼の首がぶった切られるハードな戦いだが
人間ドラマで中和されて進撃の巨人や東京グールほどグロテスクでカルトな路線にはギリギリに振り切らず、
慈愛と家族の絆の感動的な物語だが
割り切った無常感もどこか漂っていてワンピースやナルトほど重く感傷的でベタベタした路線にもギリギリに振り切らない。
(今回の煉獄さんはそりゃあ泣けるが鬱展開というわけでもなく
割とスッキリした後味で終わるのだ)

無論、巷で散々言われているアニメ化で人気が爆発したというのは当然の前提条件であり

・配信動画サービスが普及し始めたのと丁度タイミングが重なり、スマホ・タブレットでいつでもどこでも全話が観れるとっつきやすい環境が出来ていたこと

・主人公の炭治郎がとことん礼儀正しく心優しく真面目な努力家という、ストレスフリーでとっつきやすくて共感しやすく理解しやすいキャラであったこと
(「面白過ぎる」マンガの主人公って大抵トガっている奴で、見ていてしんどかったり思想についていけなかったりするんだよな・・)

・オタク向けの匂いも過度な子供向けの匂いもしない、キャッチーで華のある
とっつきやすい画風のビジュアルであったこと。
(こんなグロいの小さい子供に見せていいのかという声もあるが、
実際アニメは怖くて無理・・でもキャラは知っていて好き!
怖い所は飛ばして見る!という子もいるらしい。
恐ろしいことにキャラの見た目だけで大変な人気があるのだ)

・今更この歳で漫画アニメは‥という大人も入りやすくてとっつきやすいジャンルである時代劇であったこと。

これら全てのとっつきやすさとわかりやすさが奇跡的に噛み合った結果、
幼稚園児からお年寄りまで人気が広がる異様なメガヒットになったのである。
マンガを普段からよく見ている層よりも今まであまり見ていなかった層が想像以上に多くて、その金脈が鬼滅によって可視化されたのではないだろうか?

ヒット作を生み出すことは本当に難しい。
日本の漫画・アニメ業界は面白さを追求し続けるあまり、極端な方向に走り過ぎて袋小路に陥っていたのではないだろうか?
やたら露悪的趣味に走ったり、ニッチな需要を探したり、予想を裏切ろうとするあまり変なことになったり・・。
‥もちろん鬼滅だって身体欠損フェチという露悪的でニッチで変な趣味が隠し切れず滲み出していたりする(笑)
でも、その一方で炭治郎が心の限り「失った体は二度と戻らないんだ!!」と叫ぶ道徳心があって強く響いてくる。

青少年に悪影響を与えると何かとマンガは攻撃されがちである。
面白ければ何をやっていいという風潮で暴走しがちでもある。
(これはマンガに限ったことではないが‥)
人間の残酷で悪い部分を娯楽として楽しむ面も確かにあるが、
それはあくまでも空想だからこそと折り合いをつける良識があるから
我々は無限の世界に連れて行ってくれる列車のようなフィクションの世界を楽しんで感動することが出来る。
そのことを再認識させられるかのように面白さ以上に現実でも大事な良心やモラルや正義や美徳や勤勉さを真摯に力強く語りかけてくる。

‥それもまた鬼滅の「程よい面白さ」の素晴らしさだと思うのだ。

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