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悪人伝 (2019)

THE GANGSTER, THE COP, THE DEVIL

監督
イ・ウォンテ
  • みたいムービー 100
  • みたログ 533

4.15 / 評価:414件

法治国家こそが最大の悪のように見える

  • dr.hawk さん
  • 2020年7月23日 8時28分
  • 閲覧数 1019
  • 役立ち度 5
    • 総合評価
    • ★★★★★

2020.7.22 字幕 MOVIX京都


2019年の韓国映画
2005年に天安市で起こった殺人事件をモチーフに作られたバイオレンスアクション
連続殺人鬼を追うために警察とヤクザが共闘する様を描いている(多分このあたりが脚色)
監督&脚本はイ・ウォンテ


物語はソウル近郊のある場所で追突事故が起こり、その運転手の一人が相手を殺すところから紡がれる

その事件の現場に向かうことになった刑事のチョン・テソク(キム・ムヨル)は寄り道をして、ヤクザのチャン・ドンス(マ・ドンソク)が仕切る違法換金の店に乱入する

下っ端を捕まえて現場に向かったテソクは残忍な犯行に言葉を失った


テソクは過去に刃物を使った同様の事件との類似を指摘、班長のアン・ホボン(ユ・スンモク)に進言するも却下されてしまう

そんな折、ホボンが個人的に癒着していたドンスが何者かに刺されてしまう

ドンスの部下は普段から態度の悪いホ・サンド(ユ・ジェミョン)の仕業だと報復をするが、ドンスはサンドが黒幕ではないと感じていた


ドンスが刺されたことを知ったテソクは「連続殺人犯」であることをドンスに告げる

そして「広域警察が出てくる前に捕まえたい」と協力関係を打診する

ドンス自身も警察が捕まえる前に報復したいと考えていて、情報共有を条件に「先に捕まえた方が好きにする」という約束を交わした


この映画は2005年に起こった天安市の殺人事件がモチーフとなっていて、ググったところ「2005年に個人タクシーを止めて郊外で撲殺した」という事件がヒットした

また「2003年から2004年頃にソウルにて20人連続殺害事件」なるものがあり、その殺人鬼の別名は「レインコートキラー」であった

この辺りの事件をヒントに「ヤクザと警察の共闘」をはめ込んだのではないかと推測される


物語は「悪人と悪人による極悪人の成敗」みたいな流れになっていて、まあ直情的な暴力描写ばかりが延々と流れ続ける

殺人シーンもはっきりとは見せないものの極悪非道だし、調教がてらのサンドバックに詰め込んでボッコボコなど慣れていない人にとってはグロ要素多めの映画である

それでも目を覆うようなグロはなく、むしろ「匂わせる怖さ」がこの映画の本質だろう


天安にて殺害された女子高生

彼女が乗り込んだバスに連続殺人犯カン・ギョンホ(キム・ソンギュ)が乗っているとか、ラストシーンでのロープ片手に「ケリつけようか」などの暗雲たる提示の方が直接描写よりも怖い

極め付けは「同じ刑務所に入ってくるドンス」がギョンホを見つけた時の「最高の笑顔」である

このシーンだけで料金倍返しぐらいの満足感がある

そしてドンスを見つけた時のギョンホの畏れ

シリアルキラーでも怖いものがあるのかと思えるほどに究極の不穏がそこにあった


テソクよりも先にギョンホを見つけたドンス

それを横取りしたテソクだったが「法律で始末をつけられない弱さ」がそこにある

真の共闘はこの裁判シーンであり、そこで見せるドンスの漢前なところは「全司法関係者」に見せたい代物である

それでも最終的に「法の中で決着」をつけるというのは面白い

どうやったら同じ刑務所に入るんだよというツッコミは野暮であり、むしろ違う刑務所でもドンスのシンパによって嬲り殺しにされていたと思う

むしろ直接対決を得られたことの方がギョンホにとってはよかったのではないかと思えるほどであった


いずれにせよ、バイオレンスだけに留まらずストーリーテリングも最高で先の読めない展開にも満足である

事実ベースと言われると無茶なところはあるが、シリアルキラーを法で裁く(証拠がなければ罪に問わない)唯一の方法なのかもしれない

事件被害者への呵責による自殺

目撃者はおらず、証拠もない

ある意味、ギョンホの犯行に対する報いとしては最適解になるのかも知れない

「家族がやられても同じことが言えるのか」

これが善悪の根源であり、法治国家の限界なのかもしれません

詳細評価

物語
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音楽

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