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ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像 (2018)

TUNTEMATON MESTARI/ONE LAST DEAL

監督
クラウス・ハロ
  • みたいムービー 50
  • みたログ 68

3.73 / 評価:49件

1枚の肖像画が教えてくれたこと

  • per***** さん
  • 2020年8月23日 4時55分
  • 閲覧数 213
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    • 総合評価
    • ★★★★★

フィンランドという土地柄でしょうか、横から差す光の色調がとても印象的ですね。本作もまた、頑迷で欲得ずくの主人公に暖色系の光を当てるかのような作品でした。

初めは高齢ながら画廊を守り続ける孤独な老人の姿に心惹かれますが、次第にこの老人のクズッぷりが露わになります。仕事一筋で家族を顧みることのなかった老人。では仕事の糧である絵に対して愛情があるかといえば、そうでもない。絵は彼にとって投資の対象でしかない。

その打算的な性格ゆえに娘に愛想をつかされ、上客にも逃げられるというまさに自業自得の境涯。もしコレクターとの間にもう少し信頼関係があれば絵は売れたはず。結局彼は、家族も商売も人間同士の心の絆が基本であることが分からなかった。

ついに店を畳み引き揚げた荷物の中で、しばしレーピンのキリストと対峙する老人。画家がサインすることさえ憚られる聖画を前にして、老人もきっと敬虔な気持ちになったことでしょう。キリストの目は優しくもあり、老人を厳しく戒めているようにも見えます。

おそらく老人はこの時、キリストの最も重要な教えである「愛」について悟ったに違いありません。そして娘に宛てて遺書を書いたのです。「わしは悔いている。今になって分かったよ」と。

肖像画と老人が出会ったのはきっと運命だったのでしょう。さらにこの絵が最後まで売れ残ったのにもちゃんと意味があったのです。お金に換算できない一番大切なことを教えてくれたのですから。

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