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リチャード・ジュエル (2019)

RICHARD JEWELL

監督
クリント・イーストウッド
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  • みたログ 1,676

4.10 / 評価:1,323件

法執行官

  • 出木杉のびた さん
  • 2020年1月12日 8時56分
  • 閲覧数 3433
  • 役立ち度 41
    • 総合評価
    • ★★★★★

確かにリチャード・ジュエルは、問題行動の多い人物だった。何かというと自分も法執行官だと訴え、ヒーロー願望もあったかもしれない。しかし、それで爆弾犯人かと疑われるのは大間違いである。映画でも初めから真犯人は存在していて、彼が犯人かどうかを探るミステリーではない。無罪の彼が、如何にして犯罪者に奉り上げられてしまったか、そしてどのように戦ったのかを描いたサスペンス作品なのだ。相変わらず抑えた演出が冴えるクリント・イーストウッド監督。本作でもじっくりと腰を据えて、それぞれの人物像を追求している。

それにしても、どうして大勢の人の命を救った男が、犯人に間違えられてしまうのだろうか。そういえば、消防に携わる人間が、自ら火をつけて自分で消火活動を行ったという話も聞いたことがある。リチャードはそういう人物に思われたのだ。プロファイリングもそれありきだけでは、当てにもできない。もう一つの問題は、スクープを焦る報道関係者のフライング。ネタを仕入れたとしても、裏付けなしで犯人と決めつけた報道をする早計さが信じられない。

そんな物語に真実味を加える演技陣が申し分ない。デブで口うるさいので、警備員としてのリチャードは、周囲からも煙たがられ、誤解されやすい人物だ。ポール・ウォルター・ハウザーは立派な太りぶりだが、貫禄とは程遠い無粋な男を演じてお見事。実際ウザいのだが、ただそれだけの男でないことは、冒頭のワトソンとの出会いと交流で描写されている。演じるのはサム・ロックウェル。後に弁護士となる彼は、短パン姿で少年のような頼りなさも感じさせるが、リチャードの本質をよく知っているのは、彼を置いて他には母だけだ。母親のボビ役はキャシー・ベイツ。この人はどうしても『ミザリー』での狂気の芝居を思い出してしまう。それほど強烈であった。本作では、リチャードを信頼する、とても優しい母親。爆弾を発見してヒーローになった息子を誇らしく思い、一転して犯人扱いされてからは心を痛めておどおどしている。でも息子のことは信じている。息子への愛情溢れる演技に、胸が熱くなった。一見物分かりが良さそうな、FBIのトムを演じたジョン・ハムの憎々しいこと。更に凄いのは女性記者役のオリビア・ワイルド。この徹底したゲスさ加減が素晴らしい成りきり演技。やることなすこと言うこと全て下劣で、本当にあさましさが感じられた。

終盤、リチャードがトムに言い放つ言葉が説得力十分。正にその通りだと思う。こんなことで、善意の報告をすることが罪になってしまうようなら、誰が危険を知らせてくれるというのか。真の報道の意味も含めて、多くのことを訴えかけてくる秀作である。

詳細評価

物語
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