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上映中

リチャード・ジュエル (2019)

RICHARD JEWELL

監督
クリント・イーストウッド
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  • みたログ 1,696

4.10 / 評価:1,342件

リチャードくんはちょっと足りない

  • bakeneko さん
  • 2020年1月23日 18時51分
  • 閲覧数 1071
  • 役立ち度 5
    • 総合評価
    • ★★★★★

いきなりすみません!-FBIの捜査官に好い様に有罪誘導されそうになる お人好しの主人公に無実を勝ち取るべく奮闘する弁護士を観ていると、同じく冤罪?で糾弾されそうになる世間知らずの同級生を救おうと主人公が奮闘する阿部 共実の漫画「ちーちゃんはちょっと足りない」を連想しました。

マリー・ブレナーが1997年に雑誌『ヴァニティ・フェア』に寄稿した記事「アメリカの悪夢:リチャード・ジュエルのバラード」を基にした映画化作品で、1996年のアトランタオリンピック最中のコンサート会場で爆発物を発見して多くの人命を救ったにもかかわらず、初期捜査の段階でFBIやメディアに容疑者と見なされた実在の警備員リチャード・ジュエルと母親の苦悩と旧友弁護士の奮闘を通して、権力の独善とマスコミの軽薄さの脅威を映し出してゆきます。

1996年7月27日、警備員のリチャード・ジュエル(ポール・ウォルター・ハウザー)はアトランタ五輪の会場近くの公園のベンチ下で不審物を発見し、適切な対応で周囲の人々を避難させるが、2人の死者と100人以上の負傷者を出す大惨事となる。当初マスコミは彼を英雄的に報道するが、新聞記事を観た嘗ての勤務先の大学長の中傷タレ込みでFBI捜査官のトム・ショー(ジョン・ハム)はリチャード・ジュエルを容疑者として捜査し始める。折しも地元アトランタジャーナルの野心的女性記者のキャシー・スクラッグス(オリヴィア・ワイルド)も記事を得るために枕営業でトムからリチャードへの捜査を聴き込み、英雄の転落をすっぱ抜いたことからマスコミは一転してリチャードを攻撃し始める。四面楚歌の状況でリチャードは嘗て勤めていた公的事務所の弁護士ワトソン・ブライアント(サム・ロックウェル)を思い出して助けを求める…という展開で、イーストウッド監督作らしく、外連味や贅肉を削ぎ落したセミドキュメンタリー的な語り口で、一介の市民を襲ったマスヒステリーと官憲の謀略を映し出してゆきます。

普通の“法廷もの”ならば、検察と弁護側の息詰まる攻防が緻密な証拠と論理の積み重ねと検証を通じて戦わされるのですが、本作は初期捜査のレベルなので、容疑者へのプレッシャーによる自白の誘導と大まかな犯行の可能性の見積もりのみで、“物理的に爆弾を仕掛けてから電話機までは想定時間内では辿り着けない”という事実が出てきた時点でFBI側の杜撰な思い込み捜査が明らかになってくるので、頭脳的な裁判劇にはなっていません。
逆に言えば、確証が無くても見込みのみで犯人と決めつけ捜査してゆく―官憲の杜撰な仕事ぶりが恐ろしく、本意を偽って警備シミュレーションと騙してリチャードを陥れようとするFBIと、なるべく貢献しようとするお人好しのリチャードの協力的な態度に、“そんな連中に愛想よくしちゃダメだ!”と、弁護士のワトソンと観客の血圧を上げる作劇となっています。
更に、次々と出てくるリチャードに不利な個人情報でもハラハラさせ、ずらりと並んだ銃器の量に、“いくら南部とは言ってもこの量はちょっと…”と頭が痛くなってきます。
そうして頼りない面を見せた後での母親(キャシー・ベイツ)の記者会見、クライマックスのFBIとの質疑応答では、“口を滑らしてFBI検察に言葉質を捕られるのではないか?”とドキドキしながら、リチャードの乾坤一擲の反撃を見つめる―ラストまで緊迫感が張り詰めている名人演出に惹き込まれる作品で、ポピュリズムと官僚主義というアメリカの負の部分を活写しながら、毒舌弁護士とそのパートナー女性の善意では友情と正義感もすたれていないことを提示して鑑賞後の後味も良いものとなっています。

最後に真犯人の決着までしっかり語るー見事な締めくくりで終わる良質の社会派サスペンスドラマですが、エンドタイトルでリチャードが若くして心臓疾患で亡くなった記述を読むと、“やはり太り過ぎは良くないなあ~”と改めて思いますよ!

ねたばれ?
1、名前:Nadyaとロシア訛りから推測するとワトソンのパートナー:ナディア(ニナ・アリアンダ)は旧ソ連ウクライナの出身の様です(だから盗聴にも敏感だし、“私の国では何もないというときは何かある”と言う言葉が出てくるのですね)。
2、こらっ 押収した物品を元の場所に戻さんかい!-マジック書きも消していないし…

詳細評価

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