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リチャード・ジュエル (2019)

RICHARD JEWELL

監督
クリント・イーストウッド
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4.09 / 評価:1477件

イーストウッド監督から現代への警鐘

  • nob***** さん
  • 2020年1月17日 21時20分
  • 閲覧数 3677
  • 役立ち度 49
    • 総合評価
    • ★★★★★

やはりイースドウッド監督作品は面白い。今年で90歳だが、冴え渡る監督スキルに脱帽。本作は、1996年のアトランタ・オリンピック開催中に起きた爆破テロ事件で爆弾の第一発見者であるが故に容疑者扱いされた男と弁護士の苦闘を描いている。“ハドソン川の奇跡”と設定は似ているが、より社会性を帯びた作品に仕上がっている。

本作の主人公は、警備員のリチャード・ジュエル。彼は、コンサート会場で爆弾を発見し、一躍ヒーローとなるが、彼の経歴が明らかになるにつれ、一転して、FBIから疑われ、マスコミのバッシングを受けるようになる。彼と弁護士は無実を主張して闘っていくが・・・。

事件に関係したことだけにフォーカスして、真実という迷宮で苦闘する主人公と弁護士の姿が綴られていく。派手さを抑制した淡々とした展開で、リアリな雰囲気が画面から漂ってくる。

序盤に、主人公の事件に至るまでの素行が描かれる。主人公が絵に描いたような善人ではなく、個性的で誤解されやすい人間であることが我々に開示される。主人公を疑ったFBI、マスコミと同じ心境に我々を巧みに誘導する。実話でありながら主人公の無実を力説できない我々は、当時の世論と同じであり、先入観が真実を見難くしていることが実感できる。

本作で、最も印象的だったのは、主人公の母親が主人公の無実を訴えるシーンである。母親を演じるキャシー・ベイツの演技力が絶品。震える声での切々と涙ながらのスピーチは、演技ではなく、本当の母親としか思えない。息子への想いに自然に涙が溢れてくる。

ラストシーンも淡々としているが、却って、如何に主人公達が辛く苦しい闘いを続けてきたかが想像できる。胸が熱くなる。

真実は一つであり、本来、シンプルなものである。しかし、本作を観ると、我々の先入観、膨大な情報が如何に真実を見難くしているかが分かる。本作は、情報化、個人主義化が進んでいる現代へのイーストウッド監督の渾身の警鐘である。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

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