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ザ・ピーナッツバター・ファルコン (2019)

THE PEANUT BUTTER FALCON

監督
タイラー・ニルソン
マイケル・シュワルツ
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3.85 / 評価:341件

亡くなった兄の想い

  • TとM さん
  • 2021年5月25日 12時06分
  • 閲覧数 962
  • 役立ち度 9
    • 総合評価
    • ★★★★★

多くの人がザックのことについて、ザックとタイラーの関係についてレビューを書いているが、この作品は、すでに亡くなっているタイラーの兄とタイラーの和解?とそこからタイラーが成長する物語だ。

シャイア・ラブーフ演じるタイラーは自身が運転する車の事故で兄を亡くした。
その事で自分を責めているし、孤独になったことで自暴自棄にもなっている。
カニ漁も上手く出来ないタイラーは「ウスノロ」なのだ。

そこへザック登場。
自分と同じ「ウスノロ」であるザックに対し最初は助けもするし嫌悪感も示す微妙な反応をする。
しかしザックも自分と同じ「お尋ね者」であると知り、旅の道連れとする。
この時まだタイラーは気付いていない。ザックの中に自分を見て、自分が、今まで助けてくれていた兄のポジションになったことを。

タイラーの夢はフロリダで船を買い釣り人を乗せることだ。兄はその事を強く応援してくれていたに違いない。だからザックの夢も叶えてやりたいと必死になる。
お前はウスノロなんかじゃない。お前は強い。お前は出来る。とザックに向けて言う言葉は、兄が自分に向けて言っていた言葉であり、タイラーが自分を鼓舞する言葉でもある。

タイラーが兄を慰めていたフラッシュバックと同じように、ザックがタイラーを慰めるシーンがある。
この時、ザックが自分であり、自分が兄と同じであることに気付く。そして、兄の気持ちを理解したタイラーは涙する。

ザックの夢であるプロレス学校がなくなっていることを知り、一番憤り落胆しているのはタイラーだ。応援したい、叶えてやりたい夢が破れ途方にくれる。
しかしその後、形は違えど、レッドネックに会うという夢をザックが叶えた時、もちろんザックは喜ぶが、一番興奮しているのもタイラーなのだ。
更に、ザックが対戦相手を持ち上げて投げる技を繰り出すことで、ウスノロなんかじゃない、弱くなんかない、「出来る」ことを示す。
それはタイラーにも「出来る」と気付かせるには充分な大技だった。

兄が自分の夢を応援してくれたこと、タイラーの夢が叶うことを誰よりも喜ぶだろうこと、そして自分にも出来ることに気付く。
自暴自棄になっている場合ではない。亡くなった兄のため、落胆させないため、喜ばせるため、夢を叶えるしかない。

しかし、タイラーはダンカンに襲われ病院へ。
エレノアは頭を抱え、ザックはカップケーキのロウソクを吹き消す。
タイラーのメタ的存在であるザックが夢を叶え、兄のメタ的存在であるタイラーが歓喜したことで、メタ的にタイラー兄弟の物語は終わったとも言える。
ならば、タイラーの兄と同じようにタイラーも亡くなってしまうのか?な演出。

フロリダに着き、現れるタイラー。
ザックの誕生日に生まれ変わった。もしくはザックの願い事のおかげか、タイラーが生きていることに安堵する。
この作品のルールその1は「パーティ」一つしかないルールをいきなりは破れないよね。


タイラーの兄が登場するフラッシュバックは全て無音だ。セリフもない。
現在のタイラーとザックを見せることでタイラーと兄の関係を想像させる演出は粋だった。

「ピーナッツバターファルコン」はザックのリングネームであり、タイラーの名前でもある。

詳細評価

物語
配役
演出
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音楽

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