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ふたりのJ・T・リロイ ベストセラー作家の裏の裏 (2018)

JEREMIAH TERMINATOR LEROY

監督
ジャスティン・ケリー
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3.27 / 評価:33件

架空の人物の存在に誰もが翻弄される

  • wxj***** さん
  • 2020年3月18日 21時56分
  • 閲覧数 146
  • 役立ち度 0
    • 総合評価
    • ★★★★★

2001年、サンフランシスコ。親元を離れたサヴァンナは、兄の元を訪ねる。
そこで、兄のパートナーでバンド仲間の作家、ローラと出会う。

異常にテンションが高いローラに、サヴァンナでなくともタジタジ。
マシンガントークも、強引さも、ファンキーなパンクさも、どこかクレイジー。

そんなローラを演じたローラ・ダーンが、弾けまくってるのはいいのですが。

兄のジェフリーを演じたのが、大好きなジム・スタージェス。
久しぶりにスクリーンで見れたのは嬉しいが、髭モジャ姿が個人的に好みではない。

でも、この二人が恋人同士というキャスティングは、すごく無理がある気がする。
53歳と41歳で、実年齢で一回りもの年齢差があるので、彼氏っぽくないというか。
まあ、だから言いなりになるしかないというか、立場が弱いんだろうか。

ローラは自分の小説を、J・T・リロイという架空の美少年名義で出版し、ベストセラーになっていた。

ボーイッシュで、中性的な魅力を持つサヴァンナを、ローラはすっかり気に入る。
サヴァンナの中に、J・Tのイメージを見出し、J・Tを演じさせることに。
これまで、架空の存在でありただのアバターだったわけだが、初めて肉体を得た。

ローラに頼まれ、最初は遊び半分で男装し、J・Tに扮するサヴァンナ。

クールでカッコイイ彼女に、中性的なクリステン・スチュワートははまり役!
クリステンの魅力満載で、変装していてももちろん、素の状態でも素敵だった。

ミステリアスなJ・Tは、取材を受けたり写真撮影されるなど、世間への露出が増えてくる。

おどおどして、挙動不審なのが神経質っぽくて、いかにも芸術家らしいから不思議。
才能に溢れた天才って、常人離れしている感じがするもんね。

そんな成りすまし型のお話は、いつバレるのか、というのが焦点だったりしますが。
今作は実話に基づいており、いずれバレることは分かっているのでドキドキ感は無い。
2人がなぜJ・Tを作り上げ、虚像を演じ続けていたのかがポイント。

やがて、小説の映画化が持ち上がり、ますます人気を博して注目を集めていく。
ローラはスピーディーというマネージャーを演じ、行動を共にしていく。
J・Tへの質問に代わって答えるとか、常時一緒でかなりウザイ。(笑)

映画の宣伝や交渉の為、時にフランスなど海外にまで出向いていく。
そこで出会った、映画監督と出演を兼ねるエヴァに、サヴァンナは魅了されてしまう。

エヴァとの電話やメールでのやり取りなど、表舞台に出ないJ・Tの言動は全てローラが担当。
次第に、エヴァを巻き込んだJ・Tを巡る騒動は大きくなり、ひずみが生じてくる。
互いが知らない事が増えてくれば、それも当然ではある。

サヴァンナは、世間に必要とされ、もてはやされる快感に酔いしれ、自らの存在価値を見出す。
初めて味わう不思議な感覚に、魅了され本来の自分を見失うのも分かる。
一方で、エヴァや世間を欺いている罪悪感に駆られ、その狭間で苦悩し葛藤する。

ローラもまた、操り人形だったJ・Tが意志を持ち、独り歩きしていくことに苛立つ。
ローラ自身と、世間やファンが描く理想の「J・T像」から、外れる事が許せない。

小説は、自らの過去の辛い経験を基にした、自伝的内容なのだが。
架空の若い美少年に仕立てる事で、自らを防護し、救われていた。

過去のトラウマから、J・Tを求めている孤独なローラの想いは切ない。
架空のJ・Tに、誰もが翻弄され、狂わされていくのが奇妙でおかしい。

実際、冷静に見ると喉仏が無いし、声などですぐにバレそうに思う。
事実、指摘する声も上がるのだが、ローラは強引に押し切る。
ローラのJ・Tに込める想いが強いだけに、切なくも虚しく滑稽。

嘘に嘘を重ね、どんどん大きくなり、引き返せない所まで来た時に。
ついに、サヴァンナの存在が明るみに出てしまう。

バレた時の戸惑いや焦り、葛藤などももっと突っ込んで描いて欲しかった。
世間をどれほど騒然とさせたのかも、描き方が弱かったような気が。

そしてラスト、1年後の二人の姿を映し出すのは、意外性もあり驚いた。
最終的には互いの自己承認欲求が満たされ、アイデンティティを見出したのか。

堂々と表舞台に立ち、復活と再生を遂げている彼女の姿は、たくましさを感じさせた。

誰もが表の顔と裏の顔を使い分け、何かを演じているもの。
したたかに生き抜く術を架空の人物に求めたが、やはり女は強かった。(笑)

サヴァンナの成長物語としても面白かったが、ちょっと平坦過ぎたかな。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 不思議
  • 切ない
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