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朝が来る
2020年10月23日公開

朝が来る

1392020年10月23日公開

Goro

4.0

ネタバレドキュメンターのような映画で引き込まれました。

俳優陣の演技が素晴らしく、途中ドキュメンタリータッチの部分も多く、見応えのある映画だった。 見終わった後は蒔田さん演じる少女の内にある葛藤を考えさせられた。 好きな人の子を妊娠したものの、両親の一方的な判断で特別養子縁組で赤ちゃんを手放すことが決まり、14歳での初めての出産。実母がそばにいない状態で出産に挑み、産んだ後は間もなく引き離され、実家に帰った後も家族とうまくいかず、学生生活へのモチベーションも持てなくなる。 出産後実家に戻った時に姉の部屋にこっそり入り、子供っぽいと発言した描写は、14歳の子が「赤ちゃんを産んで」「手放した」という壮絶な経験とそこにある彼女の苦しみがうかがえる。 高校へ進学せずアルバイトの生活。親ともうまくいかず住み込みで働き、淡々とした希望のない毎日。 産んだ子のことを時折思い出すのが、辛くもあり希望だったのかもしれない。 あの平和で穏やかな妊娠中の母子寮での生活の中で、お腹で赤ちゃんを育て産んだという事実だけが彼女の誇れることだったのかもしれない。だけど自分の元にその子はいない。そして自分はどん底のような生活。 そんな状況で夫婦に電話をかけてしまったのか。 でも実際夫婦の家に行ってみると自分には想像もできないような、夫婦とその子の3人の場所だった。子供のスリッパ、三輪車、絵。自分の産んだ子が母親の元で育っていることをまざまざと見せつけられた。 子供が幼稚園なのか小学校なのかも過ぎていく日々の中で分からなくなっていた。それらを思い知らされ、最後に私は母親じゃないと発言した彼女の苦しみも想像できる。 エンドロールの最後で子が言った言葉は、彼女にとって新しい希望になり、そこからまた生きていく=朝が来るということなのかと解釈した。 映画は育てる母、産んだ母、それぞれにフォーカスした構成だが、個人的には産んだ少女のストーリーに引き込まれた。

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