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燃えよ剣
2021年10月15日公開

燃えよ剣

1482021年10月15日公開

shinnshinn

4.0

イデオロギーより男道という感じか

映画は土方歳三の回想形式で進み、多摩の農民で、田舎道場の門弟だった頃からの、お話で始まる。原田眞人監督の演出と構成が素晴らしく、僅か2時間半あまりの短時間に、新選組の始末記を手際よくまとめていたと思う。 <新選組>や<坂本龍馬>の映画や文献、小説は、それこそ戦前からあったのだが、ここまで今日でも、映画化、ドラマ化されているのは、何と言っても<司馬遼太郎先生>のおかげだと思う。小説がメッポウ面白く、文章に見てきたような臨場感があるので、多くの人々が歴史に興味を持つのだ。 <幕末物>は社会の動きが複雑怪奇で、多くの登場人物がそれぞれのイデオロギーや思惑で動いているので、<戦国物>に比べると、お話としては分かりづらい。ひとつのキーワードは外国人であり、外圧なのだが、まさに時代は混沌としたカオスだ。結果的にアジアで列強の植民地にならなかったのは<日本>と<タイ>だけなのだが、日本人の叡智と胆力もあったのかもしれないが、多分に運も良かったと思う(笑)。外国人に対して徳川幕府は穏便で弱腰なのだが、白刃を振りかざして立ち向かってくるクレージーなヤバイ奴ら(諸藩のサムライ)も沢山いることは脅威だったに違いない。強国がお互いに牽制し合ってくれたのも幸いした。手を組まれたら北海道と九州と四国は違う国になっていたかもしれない。日本は切り分けやすいケーキのようなものだ。 天領の農民である事にプライドを持っていた近藤勇や土方歳三は、結局、徳川の領民だという呪縛からは逃れられなかったのかもしれない。 確か司馬遼太郎先生は「近藤勇はサムライの時代が終わろうとしていた時に、大名を夢見ていたようなところがあった」とおっしゃっていたと思う(記憶違いだったらゴメンナサイ)。それでも、本流にあらがっていたと断定出来るのは、後世の人間だからかもしれない。人間は現在の事も自分の事も、意外と見えていないものだ。僕のような一般人ならそれでもいいが、権力者がそれでは困るのだ・・・。

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