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春江水暖~しゅんこうすいだん (2019)

春江水暖/DWELLING IN THE FUCHUN MOUNTAINS

監督
グー・シャオガン
  • みたいムービー 63
  • みたログ 50

3.98 / 評価:43件

悠然たるリズムで描く動く山水画

  • ta7******** さん
  • 2021年2月23日 23時33分
  • 閲覧数 505
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

家族と都市が悠々たるリズムと風格で描かれる一大抒情詩、150分とちょいと長く、展開もユルユルなのにどうだろうこの画面の品格たるや、これが新人監督? ほとんど素人とおぼしき多数の登場人物がまるでドキュメンタリーの如くに画面の中で呼吸し生き続けている。それを目撃出来る映画的快感に満ちている。

 4人の男ばかりの兄弟が舞台で、頂きに彼等の母親が据えられ、それぞれの夫婦からこの子供世代までの大家族が、細かしいカット割りによるテクニックもなく、特徴的な長廻しだけで、人物を描き分けるのは凄いではないか。金に余裕もなく同じ服をいつも着ている設定も監督の策略か、おかげで見分けが実に簡単。のっけから話は「金を払え」これが延々と続く、本当にこのセリフだけで本作は回ってゆく。その要に3男がいて、冒頭からサングラス風情で問題児と提示される。節目節目のそれぞれのしきたりなり行事が次々と描かれ、そのたびに兄弟及びそれぞれの妻を交えての「親戚付き合い」の面倒臭さと生真面目な絆を丁寧にすくってゆく。なんの事件も起きないけれど、心理状態の起伏に普遍性があり、観客の「あるある」に共鳴してゆく。この辺はやはり小津なのかなぁ。

 セリフにもある山水画のとおりに、春夏秋冬の自然の表情を丁寧に画面に取り入れ、点描のように木々の隙間から人物が見え隠れする。これが大目玉と言うべき本作の売りでしょうね、大自然を前にして人間の営みのなんと小さいことよ、でもこの小さな事に右往左往するのが人間でもあり、監督からの深い愛を感ずるわけで、本作が稀有な傑作である証拠でしょうね、

 でもしかし、諸々の不満を抱えつつも身内の中で解消してしまうわけで、決して怒りとなって社会に向けられることはない。これが中国の一党独裁なんでしょうね。夢のような再開発が描かれるが、廃墟となり解体される物件だって優雅なベランダの造りからも明白な当初は理想的な住まいだったはずで。激しい経済発展にともなう歪みをそれとなく描写するあたりが検閲をクリアすべく限界なのかもしれない。独裁の手の中にいる限りは平和かも知れないが、これでは到底進歩は望めないし、いつまで経っても平均的な貧乏のまま。

 ちょいと前まで中国各地を旅した記憶から、本作の路地裏からレストラン・街並みなど酷く懐かしさを思い起こさせ、市場から漁師の舟そして人々の装いまで「みんな少し貧乏」なのが特徴的。実際はごく一部の大金持ちが牛耳っていると言うのにね。

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