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スキャンダル (2019)

BOMBSHELL

監督
ジェイ・ローチ
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  • みたログ 1,284

3.48 / 評価:968件

細部にこだわる演出が生む「のぞき見感」

  • my******** さん
  • 2020年8月6日 13時54分
  • 閲覧数 925
  • 役立ち度 11
    • 総合評価
    • ★★★★★

#Metooは知っていても実際に起きた訴訟の詳細までは知らなかった自分は、その事件を検索する前、今作は豪華女優陣主要3人がガッツリ共闘するものと思っていた。しかし、その間柄にはライバルという関係性があり、お互いの行動を遠目から観察している程度で説得力あるプロ同士だった。また、年代や置かれた立場によって生じる行動の違いがとてもリアル。

劇中はセクハラと恩義を天びんにかける描写が多くハラスメント問題の闇がよく表れていた。セクハラは「断れば済む」問題では一切なく、むしろ断っても従ってもどちらも地獄を見ることになる。彼女たちに与えられた唯一の選択肢は「困惑する事」。その無言の答えは結果的に「従う」となってしまう。セクハラ加害者にとってもあからさまな言葉は必要なく、被害者を取り囲む状況を無言の武器にする。無言と無言のやりとりで成り立ってしまうほどに進める道は狭い。その道を恩義とすり替える。そうさせるための状況を設定する事においてセクハラ常習犯は卑劣なプロフェッショナルだという事がよく伝わってきた。その背景をオリジナルキャラであるケイラたちを通してよく表現していたと思う。また友人のジェスの設定も素晴らしい。あんなに冗談が好きでワイルドな彼女さえ、仕事では秩序を乱さないように無に徹する姿からFOXニュース職場の「保守」さが伝わってきた。

序盤を中心にメーガンがカメラに向けて説明するメタ的な場面にはエンタメ要素が加わり見やさを感じた。またグレッチェンがカメラに語りかける数少ないセリフは世の中の不遇な状況に置かれている人々への直接的なメッセージともとれた。そんな時より見せるメーガンからの観客とのやりとりや、カメラのパンや大胆なズームを多用したカメラワークから、メーガンに導かれてのぞき見をしているような感覚になり、ドキュメンタリー要素やサスペンススリラーに近いものも感じる。

アカデミー賞を受賞した特殊メイクは、当然不自然さは全くなく影に徹した匠の技。特にノーメイクのグレッチェンを特殊メイクだと思わせない技はすごい。「モノマネ」をする必要性を問う声もあると思うが、特に実際の人物たちに馴染みがあるアメリカ国民にとっては更に興味を集める要因にもなっていると思う。事件を知らなかった自分のような人にとっても、実物との比較画像を検索したり、より事件に関心を引き出すキッカケにもなっていて結果的に大成功では無いだろうか。素晴らしい。無論、シャーリーズやニコールにとっては特殊メイクが演技を後押しする要素にもなっていたのではないかと思った。メイクに関しては、ケイラがどんどんFOX色に染まるにつれて化粧が濃くなり髪型がゴージャスになっていくのが面白かった。

今作は各ディテールが素晴らしく、その説得力ある視覚面と演技、そして演出から「のぞき見」をしているかのようなスリル感があった。問題提起に特化しているだけでなく、一本の映画として没入感を提供している素晴らしい作品だった。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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