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上映中

星の子 (2020)

監督
大森立嗣
  • みたいムービー 250
  • みたログ 583

3.13 / 評価:503件

家族と言う厄介な宗教

  • kap***** さん
  • 2020年10月27日 1時08分
  • 閲覧数 1237
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

エッジの効いた作風でR15,R18の映画も多い大森立嗣と
芦田愛菜と言う一見ミスマッチな組み合わせです。

ちひろの両親は怪しい水や仏壇を法外な高価な値段で売りつける
どう見ても怪しい宗教にはまっています。

そんな「普通じゃない」家庭環境に育った子供は「普通」じゃない
と言う観客のありきたりな予想を覆すように
ちひろは中学校生活を満喫しています。

ターミネーター2のエドワード・ファーロングに一目ぼれして以来
好きになる男の子はイケメンばかりの面食いです。
もっとも、どれも一方的な片思いばかりで、恋に恋しているレベルです。

「親が怪しい宗教にはまってる」などと言いにくいことをはっきり言う
親友なべちゃんは「男前」だし、新村君のアホっぷりも清々しい。
「親が怪しい宗教にはまってるから」と言うクラスの虐めもなさそうです。

両親を愛しながらも一定の距離を置く冷静なところもあるり、
家庭でも学校でも上手くバランスをとってふるまう術を身に着けた
ちひろの生きる知恵なのかも知れません。

怪しい宗教にはまる両親を嫌がる姉のまーちゃんでも
その両親を激しく非難する叔父さんには食ってかかります。
両親を否定はしたくなく、そんな複雑な気持ちに折り合いをつけるためか
まーちゃん自分から家を出ていきます。
よく映画で描かれる「こういう環境で育った子供はこう言う反応するだろう」
と観客が予想しやすい、まーちゃんは
観客が1番理解しやすい登場人物ではないでしょうか。

子供は自分の家庭が世界の総てだった幼児の時代から
小学校に上がって他所の子供の家庭を知っていくことで
我が家では当たり前なことが
よその家では当たり前ではないことを知って行きます。
子供の世界が広がっていくのですが、
あくまで子供から見た大人の世界のこと。

そこにやがて大人の目から見た世界が容赦なく入り込んできます。
あこがれていた先生が、ただの大人=世間として
自分とは異質(に見える)な者に対する恐怖と敵意をむき出しにして
ちひろを傷つけます。

そんな事件があれば、物語は一気にドラマチックな大事件へと
突き進むと予想しますが、この映画ではここでもそんな観客の予想を覆します。

世間を知ることで、それまで世界の総てだった親を
相対的に見るようになり、それで子供は大人に成長していく。

・・・などと育児書に書いてあるほど簡単なものではないことは
同じ大森監督のMotherでも描いています。

ちひろの両親は、暴力をふるったり、育児放棄をしたり、
ギャンブルや酒におぼれたりもせず、
何より子供を愛して子供の幸せを願う理想的な親です。
法を犯しているわけでもないし、
人を陥れて自分だけが得をしようなどとも考えていない。
宗教団体のうさん臭さは別にして、何も悪いことはしていません。

それだけに表には出にくいし、児童相談所も口を出しにくいから
逆に厄介かも知れません。

しかし敬虔なキリスト教徒から見たら
クリスマスにドンチャン騒ぎをして、年が明けたら初詣に行く日本人は
普通じゃない、変な民族に見えると思います。

どう考えても正論を言っているはずの叔父さんの方が
何故か人間として嫌らしく感じてしまうのが不思議です。

この先どうなっていくのかわからないラストですが
聡明なちひろがこのままなら、なべちゃんや新村君が友達でいてくれたら
何があっても間違った道には進まないだろう、
と思わせてくれるラストシーンでした。

詳細評価

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