ここから本文です

ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語 (2019)

LITTLE WOMEN

監督
グレタ・ガーウィグ
  • みたいムービー 710
  • みたログ 1,763

4.14 / 評価:1359件

解説

ルイザ・メイ・オルコットの自伝的小説「若草物語」を実写化したドラマ。南北戦争下の姉妹の物語を、作家を夢見る次女の視点で描く。監督は『レディ・バード』などのグレタ・ガーウィグ。『レディ・バード』でガーウィグ監督と組んだシアーシャ・ローナンとティモシー・シャラメ、『ファイティング・ファミリー』などのフローレンス・ピューのほか、エマ・ワトソン、メリル・ストリープらが出演する。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

しっかり者の長女メグ(エマ・ワトソン)、アクティブな次女ジョー(シアーシャ・ローナン)、ピアニストの三女ベス(エリザ・スカンレン)、人懐っこくて頑固な四女エイミー(フローレンス・ピュー)、愛情に満ちた母親(ローラ・ダーン)らマーチ一家の中で、ジョーは女性というだけで仕事や人生を自由に選べないことに疑問を抱く。ジョーは幼なじみのローリー(ティモシー・シャラメ)からの求婚を断って、作家を目指す。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

「ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語」乙女チックな女性ドラマとは言わせない。ハイクオリティな総合芸術を誇る、鮮烈なリブート版

 これまで何度か映画化されてきたルイザ・メイ・オルコットの名作が、これほどフレッシュに蘇るとは、誰が想像しただろう。19世紀に生きるおなじみの四姉妹が、ここではそのコスチュームを脱ぎ捨てればわたしたちと変わらない、確固とした欲求を持った、自身の生き方を模索する女性たちとして描かれる。

 愛する人に添い遂げることを願う長女メグ、小説家になり自立することを一心に目指すジョー、病弱だが繊細な感性と芯の強さを持ったベス、そして画家を目指しながらももっとも現実主義的な末っ子エイミー。四人四様のキャラクターがそれぞれに引き立っているのは、脚色も自ら手掛けたグレタ・ガーウィグの功績である。彼女の現代的な感覚が、この普遍的なテーマをパワフルに、カラフルにリブートした。

 そのなかでも強力なのはやはり、シアーシャ・ローナン扮する物語の主軸、ジョーだ。負けん気が強く、お転婆でエネルギッシュ。ガーウィグの前作「レディ・バード」に続くコラボレーションとなったローナンは、まるで水を得た魚のように生き生きとスクリーンに躍動する。彼女がロングスカートをたくしあげてニューヨークの街を疾走するシーンは、この時代の女性たちへの社会的圧力を蹴散らすかのような爽快感に満ちている。

 出版社に自身の小説を持ち込むジョーはそこで、「もっと売れるものを書け」「ヒロインは結婚しないのか」といった、不本意な言葉を浴びせられる。「女の幸せが結婚だけなんて絶対おかしい。間違っている」と信じるジョーは、幼馴染みでいわばソウルメイト(そのうえリッチでハンサム)でもある隣家の貴公子、ローリーの熱烈なプロポーズもはねつける。ローリーに扮するティモシー・シャラメの完璧度もシアーシャと肩を並べるだけに、このシーンは映画史に残る鮮烈な告白シーンと言えるだろう。

 そんな純粋で突っ張って生きているジョーが、ついにエイミーとローリーがまとまってひとり置き去りにされたとき、「わたしはなんて孤独なのかしら」と脆さを見せる姿は、だからこそ、観る者の胸を掻きむしらずにはおかない。

 それにしても、これまでどこかインディペンデント系の人、というイメージの強かったガーウィグが、監督2作目にしてこれだけの大作を指揮する力量を発揮するとは、正直驚きだ。ここでは、ソフィア・コッポラの「マリー・アントワネット」のような視覚的豪華さ(姉妹のガーリーな世界と、セットや衣装の艶やかさ)と、人間的なドラマを構築する緻密な演出、さらにオールスターキャストがもたらすキャラクターの魅力といった、それぞれにハイクオリティな要素が見事なハーモニーを生み出している。まさに総合芸術としての面白さを堪能させてくれる映画でもあるのだ。(佐藤久理子)

映画.com(外部リンク)

2020年6月11日 更新

本文はここま>
でです このページの先頭へ