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イン・ザ・ハイツ (2020)

IN THE HEIGHTS

監督
ジョン・M・チュウ
  • みたいムービー 291
  • みたログ 697

3.80 / 評価:540件

ドリーマーたちは故郷を見つめる

  • koukotsunohito さん
  • 2021年9月4日 2時20分
  • 役立ち度 1
    • 総合評価
    • ★★★★★

メインキャストの「肌の色」をめぐって批判もあるようだし、そういう声に真摯に耳を傾けてさらなる改善が図られていくことを望みたい。

その上で、この映画の出演者たちは素晴らしかったと思います。

主人公のウスナビが意志薄弱だとか、演じるアンソニー・ラモスが魅力薄だとかいう感想を目にしたけど、う~ん、そうかなぁ。個人的にはアンソニー・ラモスのあの普通っぽさが魅力だと感じたけど。自分の娘や他の子どもたちに語りかける彼は素敵だったじゃないですか。もしもウスナビが超イケメンなラティーノだったらここまで親近感は湧かなかったと思う。

確かにお相手のバネッサは超美人だから釣り合いがとれてないようにも思えるけど、男たちに大人気の彼女と奥手気味のウスナビという組み合わせは意図的なものだし、ラストでウスナビが長年の目標をあっけなく覆すのは彼が意志薄弱なんじゃなくて、バネッサが自らの強い意志で彼を引き止めたってことでしょう。

バネッサはウスナビに、あなたの本当の「故郷」とはどこなのか、と問うたのだ。ウスナビはそれで自分を見つめ直したってこと。だって、バネッサが作った服と店の内装を見るまではずっと好意を持っていた彼女と離ればなれになってまでも亡き“父”の店を再建することこそが自分の夢なんだと信じていたんだから。

それぞれ夢や目標を持って前進しようとしている若者たちが、障害にぶつかったり恋をしたりしながら彼らの“故郷”をみつめる。

歌って踊る町のみんなの姿に、生きていく喜びとともに誰もが抱える将来への不安だったり世の中の理不尽さへの憤りや失望が重ねられる。

必死に生きてきて得られたものはなんだったのだろうか、という疑問。

それでも、アブエラ(おばあちゃん)ことクラウディアは差別に打ちひしがれていたニーナにほんのわずかな誇りを守ることの大切さを伝えることで“希望”をつなぎ止める。

停電が続いても、アブエラを失っても、歌い踊ることに誇りを持とうとする人々の姿には、コロナ禍の中に生きる私たちが重ねられているのだろう。

かけがえのない存在を亡くす喪失感を乗り越えるためには、声を上げなければ。良い方向に変化していかなくては。そう思わせてくれる。

成金趣味満載だった『クレイジー・リッチ!』には面白さよりも納得いかなさを強く感じたけれど、この映画はとても好きです。同じくミュージカルの次回作『ウィキッド』にも期待。

詳細評価

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