光を求めた逃避行
- mai***** さん
- 2020年9月19日 21時26分
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- 総合評価
外山監督の作品は短編を3本観てますがどれも突き刺さる作品。
人々の小さな世界を丁寧に描いて、そこにちゃんと営みがあるんだよって事を描き出してくれている。
その人たちの事は実は私たちの事でもあるんだから、もっとちゃんと幸せでいられるように変えられる事を変えていかないと、いつか私達も彼らのようになってしまうよ?と突きつけているような感じがします。
そして今回の長編も、それは同じなのでしょう。
決して大衆受けする作品じゃないです。
でも、これを忘れてしまって繁栄を謳歌していると、いつか自分がスクリーンの中で泣き笑う彼ら彼女らと同じになるよ、と思わせてくれます。
芋生悠さんがなんなんだろうか? 何とも形容しがたい存在感。
弱者のようで…犠牲者のようで…聖母でもある。
村上虹郎さんを相手にここまでの存在感を魅せつけるとは…
立ち位置の定まらない翔太の苛立ちも、諦めも、そして希望も
全てがタカラを通してハッキリわかる。
タカラを救うための逃避行のようでいて
最後の最後にはタカラに救われてもしまう。
やっぱりタカラは聖母なのか…
ただ静かに穏やかに生きたいだけなのに
それを許してくれない社会や悪意が雨のように降り注ぐ
世の中で、そこだけが陽だまりのような2人の逃避行。
その小さな世界をより幸せに、もう少し大きくできるようにしていけたら、翔太もタカラももっと幸せに生きられるのでしょうね。
2020年9月19日シネマテークたかさきで鑑賞
詳細評価
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- 悲しい
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