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ハリエット
2020年6月5日公開

ハリエット

HARRIET

1252020年6月5日公開

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4.0

胸に染み渡る力強いゴスペル。

読み書きすら出来ない元奴隷の女性が、奴隷解放運動に捧げた人生を描く。 どれくらい事実に忠実か知らないが、予知夢のような神の導きに従って次々と奴隷を解放するミラクルを起こしていくのだが…、予知夢的な能力が演出ならば評価は分かれるところかも。 しかしそれは、作品を著しく損なうとは思えないほどストーリーが素晴らしい。 人身売買により姉を失い、自分自身も奴隷主から売り飛ばされる危機となる主人公ミンディ。売りに出されれば、両親や兄弟とも離れ離れの南部へ送られる。その危機を奴隷主からの逃亡で回避する事を画策。地域の黒人牧師は教えてくれる。遠く離れたフィラデルフィアには、黒人の自由がある…と。 この女性が神がかりなのは、奴隷主の執拗な追跡を振り切って160キロの逃亡を成功させた事。 そこに神の導きを思わせるものがあり、自由の身を獲得してからの活動もジャンヌ・ダルクのようで、予知夢や神の声に従って行動したという表現がしっくりくる。 自由か死か…と言う覚悟の台詞が何度も登場する。 地獄にも等しい奴隷の人生を身を持って体験した女性の言葉は、ヒロイズムのソレとは異なる響きだ。また、そう思わせる演技・発声だとも。 彼女のシーンはゴスペルも見所。まさに胸に染み渡る哀愁と力強さで、この映画に強烈な印象を植え付ける効果が出ている。 僕は、思わずサントラをダウンロードした。 正直、白人達の黒人に対する所有物扱いは胸糞。アメリカのこの時代の映画では毎度毎度イヤな気持ちにさせられる。 しかし、苦境からの解放は同時に涙腺が崩れる。ひとえにミンディ/ハリエットの強かさと勇気と優しさのおかげ。 2021年、良い映画からスタート出来て良かった。そう思わせてくれるハリエットの物語だった。

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