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ハリエット
2020年6月5日公開

ハリエット

HARRIET

1252020年6月5日公開

つとみ

5.0

ネタバレ今まで観た黒人奴隷もので一番面白い

アメリカの黒人奴隷ものはあまり好きではないし、そんなにたくさん観たわけでもないが、過去に観た同系統の作品の中では一番面白かった気がする。 よく、奴隷が悲惨な目にあっているだけの退屈な作品が評価されたりするけれど、そんなもの何作も観て面白いわけない。新たな視点やアプローチが必要だ。 そういった意味でもハリエットの波乱に満ちた伝記というだけでなく、僅かに見え隠れする奴隷の背景が面白い作品だった。 黒人奴隷が奴隷としての立場を受け入れていたのは聖書にそう書かれているとされていたからだ。 つまり彼らは信心深い。 そんな中、神と対話しているように見えるハリエットは、ある意味において特別であるといえる。 最初にハリエットが奴隷主の元から逃げ出したとき、彼女の逃避の先で出会った人々は、後に何度も行われる脱走を手引きしてくれる、いわゆる仲間だ。 何も知らずただ逃げていたハリエットは偶然にも自分を助けてくれる人物を引き当てていたことになる。 信心深くない自分にとっては単なる偶然だが、信心深いハリエットたちにとっては神の導きだったに違いない。 その後も、神の加護を受けているとしか思えないような成功をおさめていく。 聖書によって縛られていた人生が、より強い神の導きによって解放されていく様が面白い。 この手の作品だと、理解のある白人が出てきて不快だという意見をよく耳にするが、本作は時期や場所の問題で理解のある白人が登場するのは自然であり、また、奴隷から搾取しようとする黒人も登場しバランスがいい。 もちろん、神と対話しているハリエットの姿に心打たれ仲間となる男などは面白さしかない。 ラストは南北戦争に部隊長として従軍するハリエットの姿。直前に言う「やっと戦争に参加することが許された」という言葉が面白い。 奴隷を解放したくない南軍は奴隷主の代わりに黒人奴隷が戦った。一方奴隷を解放したい北軍は黒人に従軍させず白人が戦った。 最後まで自分たちの自由は自分たちの手で、という展開に好感がもてる。 先の言葉のように、助けてくれる白人の存在を蔑ろにしていないところもいい。 民主党のオバマ政権時代にハリエットが紙幣になることが決まった。 共和党のトランプ政権時代にストップがかかった。 そして民主党のバイデン政権となり再び始動。 アメリカはいつまで南北戦争を続ける気なのかと呆れるばかりだ。

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