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エジソンズ・ゲーム (2019)

THE CURRENT WAR: DIRECTOR'S CUT

監督
アルフォンソ・ゴメス=レホン
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3.24 / 評価:426件

ビジネスとサイエンス。技術革新は何のため

  • たまごボーロ さん
  • 2020年6月24日 13時28分
  • 役立ち度 16
    • 総合評価
    • ★★★★★

おもしろかった。舞台の電流戦争は有名な史実なので、ネタバレもへったくれもないだろう。
直流派のエジゾンと、交流派のウェスティングハウス・テスラ陣営の競争、中でもエジソンのなりふり構わないネガティブキャンペーンはえげつない。温厚で「技術は社会貢献のためにある」という信念のウェスティングハウスと、お金には無頓着なものの名声に固執したエジソンのパーソナリティが対照的に描かれている。映画なのでことさら極端に見せているんだろうけど、実際エジソンのやったことは倫理的にどうかと思うようなサイコパスなエピソードも多い。
下手すると「イヤなやつ」でしかないエジソンを、「変人で天才の役」をやらせたら世界一のカンバーバッチが絶妙なバランスで見せてくれる。名誉に固執する偏狭さも、科学的公正さを欠く執着も、強欲というよりは子供っぽい頑固さと純粋さのようにも見えるのだ。

ウェスティングハウスは天才エジソンと手を組みたかった。「直流か交流か」などという目先のオセロゲームではなく、良い技術を組み合わせて技術革新を行いたかった。しかし自らの業績と信念に視野狭窄気味なエジソンは受け入れない。また、若き天才テスラはアイデアを実現したくてしかたがない。さらにパトロンであるモルガン卿にとってみれば、要は「儲かりゃなんでもいい」。

ことが電流戦争なのでスケールが大きい話だけれど、実はこんな構図は一般企業でもそこら中でよく見られるものだと思う。手柄の取り合いや、誰も見向きもしなかったプロジェクトが「筋が良さそうだ」とあたりがついた途端にわらわらと人が群がってきて主導権争いを始める事など、企業で働くかたならきっと経験があるのではないかと思う。上層部やオーナーが「儲かりゃなんでもいい」という姿勢なのも既視感が(モルガンは気前よく金出すだけまだいいか・・)。

目の前の手柄に執着するよりも、中長期的にはセクションや企業間の壁を取っ払い協業すべきだ。そして物事は螺旋階段のように良くなっていく。同じアイデアもトライアンドエラーでだんだん洗練されていくものだ。最初に手掛けた人は確かに大きな功労者だし、それを発展させたり、カウンター技術によって視野を広げる工程も素晴らしいことだと思う。集合知によって人は発展してきた。
科学的探究心や功名心も立派なモチベーションだが、それだけでは限界が来る。
映画を見ながら、そんな仕事周りの取り組み方について考えたりした。
「研究」と「それを実社会でどう活かすか」の、サイエンスとビジネスの関係という意味でもとても今日的テーマだと思う。

モルガン卿が出資をねだる研究者に「俺は銀行じゃねえんだ!」と渋るギャグや、テスラが名乗るくだり、初の電気椅子など、後世の私たちにとって全部ネタバレしているからこその興味深いシーンもたくさん。映像も格調高い。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • ゴージャス
  • 知的
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