2.0点
19世紀のアメリカが舞台。 白熱電球を事業化した、天才的発明家のトーマス・エジソン。 大規模な送電には直流方式が適していると考え、全米の電力制覇を狙っている。 そんな彼のライバルは、カリスマ実業家のジョージ・ウェスティングハウス。 交流方式の方が、安価で遠くまで電気を送れると主張。 交流式送電の実演会を開き、見事に成功。交流方式を普及させていく。 彼の成功に苛立つばかりのエジソンは、助手のインサルと共に、様々な作戦に出る。 まず、普通は逆なんじゃ?!と思う、キャスティングの妙が面白い。 いかにも悪役顔のマイケル・シャノン、てっきり憎々しい嫌な奴かと思ってた。 今作ではクレバーな理論派で、性格的にも穏やかで、あえて勝負を受けて立つ。 妻からも、訴えたら?と言われるくらいなのだが、感情的になる事はない。 こんな至って「普通」のマイケル・シャノンは、むしろ新鮮で珍しい気が。 一方のエジソンは、妻や子供に愛はあるものの、かなり人格的には難あり。 部下に当たって喚き散らしたり、激しく訴えかけたりと攻撃的で負けず嫌い。 紳士的なカンバーバッチが演じるから、彼の苛立ちがなおさらヒリヒリさせる。 腹心であるインサルとの信頼関係と絆は、良かった。 それでも、天才的な才能がある事は間違いないし、彼の魅力でもある。 トムホ、可愛くって大好きなんだけど、どうにももみあげが気になってしまった。 この時代の流行りだったんだろうか、まったく似合ってなくてもったいなかった。 エジソンはひたすら直流式を主張し、交流式を否定して危険だとウェスティング社と対立。 メディアと世論を操作して、容赦ない攻撃を仕掛け、エスカレートさせていく。 感電して死者が出る!と猛アピール、動物実験をして馬に放流して死亡させる。 直流か交流か、どちらが優れているのか、プライドと野望をかけた熾烈な争い。 高くて安全な直流か、安くて危険な交流か、壮絶な覇権争いを繰り広げる。 ウェスティングハウスは、新進気鋭の科学者、二コラ・テスラと共同研究を進める。 さらに莫大な金が動く、特許の争奪戦にも発展する。 ニコラス・ホルト、かっこ良かったけど、出番が少なくて残念。 さらに、電気椅子を開発し、電流を流して死刑を執行する方法がとられる。 日本は、古来は切腹、からの介添え、現在はずっと絞首刑なわけですが。 なるほど、アメリカで電気処刑が行われる経緯は、こういう背景があったのか、と分かった。 処刑するにも、苦しむことなく、早く、確実で人道的な処刑法が求められていた。 それぞれの思惑が交錯し、色んな駆け引きが展開されるのだが。 ビジネスバトルの頭脳戦なので、地味で盛り上がりに欠ける。 事実なので、下手に脚色できない分、エンタメ性が少ないというか。 邦題が「エジソンズ・ゲーム」だけど、ゲームじゃない、遊んでないし。 原題はそのものずばり、電流戦争を指す「The Current War」なので、こちらの方がしっくりくる。 カンバーバッチ人気にあやかり、同じく主演の「イミテーション・ゲーム」にかけたのか? あまりに安直で、商魂が見え見えであざとい。こりゃ騙されるわ。 本気の闘い・・・ではあるが、そこまで緊迫感もないしハラハラもない。 ラスト、結局電流戦争に負けたのが、そっちだとは思わずビックリしたけど。 あえて、前情報入れずに見たので、天才にもそんな一面があるのかと。 発明王であり努力家の彼にも、こんな裏の顔というか、意外な一面があったんだな。 そんな発見は良かったし、最後のその後のエピソードも興味深かった。 ただ、内容的に権利闘争なので、中だるみしてしまった感じ。 豪華なキャスト陣の演技は楽しめましたが、内容的にイマイチ・・・でした。