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エジソンズ・ゲーム (2019)

THE CURRENT WAR: DIRECTOR'S CUT

監督
アルフォンソ・ゴメス=レホン
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3.24 / 評価:427件

電流戦争を駆け足で描いた作品

  • talkingdrum さん
  • 2020年6月20日 9時20分
  • 役立ち度 22
    • 総合評価
    • ★★★★★

1887年から1892年の約6年間続いた交流直流論争をサクッと描いた本作。
ハリウッドでは何年も前から映画化が持ち上がっては実現しなかったのが、ようやく映画化(過去にはイミテーション・ゲームのモルテン・ティルドゥムやロバート・ゼメキス/スピルバーグで撮るとか持ち上がっていた)と思いきや、大物プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタインのセクハラスキャンダルで上映危機になるも、乗り越えてようやく公開されたといういわくつきの作品なのは有名な話し。
映画を見る前にテスラとエジソンに関係する本を五冊読んでから鑑賞しました。
だからなんですが、正直言って出来事を浅く表面的に描いてるなぁ、と感じました。エジソンが何故、直流にこだわり、交流を否定していたかという部分は、エジソンが交流を危険視していた感じに描かれていますが、実際はエジソンという人物はビジネスとしての発明を考えているので、電気産業として成功するには電気量が計測困難で交流モーターが存在しないことで、電動機利用による収益が見込めないと考えた為に直流を推し進めました。実際、発電所は人口密集地域よりも動力を必要とする商業地域から建設されています。さらに電気の利用が始まったばかりなので、高電圧の交流による火災や感電事故で電気事業の後退を恐れた為、というのもあります。(アーク灯の高電圧交流による火災や死亡事故が問題になっていた)
エジソンは小学校中退後、家庭で教育を受け電気技師の職に就いたことで科学的な知識よりも、実践で発見するという思考で出来上がっているので、理系大卒の論理的な発想をバカにしていたので(当時は大学で訓練された電気技術者はほとんどいなかった)、テスラの交流転換進言も一笑に付した訳です。(実際には交流と聞くだけで不機嫌になるほどのNGワード)さらに言うと、自分の考え・意に沿わない人間は即クビという独断と偏見の人でした。その研究の仕方はあらゆる素材を総当たりで試行錯誤するというやり方なので、当然時間もかかる。当時エジソンの研究施設には世界中のあらゆるモノが集められていました。そんなエジソンを見てテスラは「自分ならわずかな理論と計算で労力の90%を節約できるので、そのような行動を気の毒に思う」当時、研究助手だったフランシス・ジュール(ジュールの法則とは関係ありません)は「簡単な方程式も解けない男」と語っています。そんなエジソンの下では新しい斬新な発想は受け入れられず、商業的に成功が見込める発明しか認められなかったので、若い技術者はウェストオレンジ研究所から去っていきました。
映画ではエジソンが人を殺す兵器の開発を拒否するシーンがありますが、実際には米海軍の遠隔操作兵器の設計もして、潜水艦用のアルカリ電池も発明しています。
電流戦争というと電気椅子が有名ですが、映画では殆どイメージシーンしかありませんが、実際にはウェスティングハウス側による電気椅子の死刑が残虐なモノであるという異議申し立てにより、死刑実施に一年三か月かかっている。これは死刑は残虐なモノであってはならないという人道上の法律の為に死刑廃止論も持ち上がって審議された。その後、絞首刑から電気椅子へ移行する州が増えていく。エジソンによる交流廃絶キャンペーンは家々に冊子を配るほど展開されましたが、結局のところウェスティングハウスの赤字覚悟の安売りに負けて、ナイアガラ瀑布発電所はウェスティングハウスの二相交流システム、送電はGEの三相交流システムが採用されて終結を見る。(この時エジソンは失脚しGEはトム・ヒューストン社との合弁会社で交流で入札していた)

というわけで紆余曲折を経て公開されましたが、イマイチな映画でしたw

参考図書:知られざる天才ニコラ・テスラ(平凡社新書)
     テスラ 発明王エジソンを超えた偉才(工作舎)
     エジソン発明会社の没落(朝日新聞社)
     処刑電流(みすず書房)
     訴訟王エジソン(ハヤカワ文庫)
※エジソンに関する大人向けの書籍が絶版なのがどうにも…

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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