ここから本文です

上映中

世界でいちばん貧しい大統領 愛と闘争の男、ホセ・ムヒカ (2018)

EL PEPE, UNA VIDA SUPREMA

監督
エミール・クストリッツァ
  • みたいムービー 100
  • みたログ 34

3.61 / 評価:23件

タンゴの調べが苛烈な人生を彩る。

時期を同じくして、元ウルグアイ大統領のホセ・ムヒカ氏を追ったドキュメンタリー映画が日本公開される(日本人取材による「ムヒカ」は公開延期になった模様)。本作は、2014年から翌年の大統領任期満了までの日々を映し出す。
彼の人となりを上っ面しか知らない(大統領になって有名なスピーチをする輝かしい功績)我々にしてみれば、この映画で彼が、元反政府組織の構成員であり、さらに何度も投獄と脱獄を繰り返していた犯罪者であることを知ってしまうことである。
取材中、彼はものすごい発言をする。
『その時の善が悪にもなり、また悪が善になることもある』
見方で善悪は変わるというのだ。まさしく映画「ジョーカー」で我々に突きつけられた、正義とは、悪とはを奇しくもこの大統領は提示して、我々に深く問いかけるのだ。
もっとも後悔することは、と聞かれた彼は「子供がいないこと」と述べた。夫婦生活は長いかもだが、獄中生活が壮年期まで続いていたのだから、子どもなど望むべくもない。だからなのかもしれないが、彼は後進の育成や教育に没頭することになる。月1000ドル、「世界でいちばん貧しい」とは確かに所得だけ見ればそうなのかもしれないが、彼ほど国を想い、国の未来を考え、民に寄り添えている為政者はそうそういないのではなかろうか?結局財布の中身ではない、度量の大きさこそが為政者の条件だと彼も言っている。
2015年3月1日の大統領の継承式の恐るべき人出と、その熱狂ぶりを見るだけで、彼がいかに愛されていたのかをうかがい知ることができる。ただ、誰しもに好かれていたわけではなく、インタビューの途上に大統領に喧嘩を吹っ掛ける初老の男性の映像も映してある。功罪相半ばする大統領という地位ながら、そこにあるのは慈しみに満ちた表情と、決して自分が富んではいけないという自戒である。
何といっても、時々で流れるタンゴがいいのだ。ラストで流れる哀愁歌は、日本で言えば演歌同様。歌に支えられていた人生と感じることもできる。
ドキュメンタリーであり、なにかすごいドラマがあるわけではない。でも、置き忘れていた何かを彼は教えてくれる。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 未登録
このレビューは役に立ちましたか?
利用規約に違反している投稿を見つけたら、次のボタンから報告できます。 違反報告
本文はここま>
でです このページの先頭へ